研究紀要第133号「開かれた学校づくりの推進」- 006/069page

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評価(いわゆる外部評価)の重要性が叫ばれる理由の一つもここにあると考えられます。

Q3 学校評価を通してどんな学校を目指すのですか?

A 学校評価を基に学校改善に努め,教育の一層の質の向上を図ります。目指す学校の姿は,次の三つです。

(1) 自主性・自律性の確立された学校
 学校の自主性・自律性の確立とは,教育課程の編成・実施について学校の創意・工夫が今まで以上に求められることであり,学校が責任を負う部分が増したことになります。従来の「教育委員会からの承認」から「教育委員会への届出」に変わったことなどがよい例です。このような状況下では,今まで以上に,

(中略)

Q5 どのように学校評価を行うのですか?

A 学校の自己評価は。単に評価活動を行うだけではありません。教育目標の具現のために計画を立て(Plan),実行し(Do),その過程や結果を目標や計画に沿って評価し(Check),さらにその結果をもとに改善する(Action)という一連のサイクル(マネージメントサイクル〉の中で行っていきます。そして,この際,重要なことが二つあります。
 一つは,すべての段階における情報の受信と発信です。そして,二つめは一連のサイクルの日常化を図るということです。

Q6 学校評価の結果をどう生かすのですか?

A 学校評価をすることによって,学校が持っている「よさ」や「見直すべき点」「改善すべき点」等が明らかになります。これらの明らかになった点を維持・発展,工夫・改善することによって,教育活動を一層充実させることになるのです。さらには教育委員会などへの提言・要望をする際の資料にもなり,学校のみならず地域や教育行政の活性化にもつながります。その結果として,目指す学校の姿に一層近づくことになります。

Q7 だれが学校評価を行うのですか?

A 学校評価の主体はあくまでも教職員による自己評価です。しかし,学校の教育活動の中心は子どもです。それを学校と家庭と地域が強い連携のもとに支えていくのです。ですから学校評価は,必要に応じてこれに関わるすべての立場から評価されることが望ましいのです。教師,子ども保護者,地域等による評価によって総合的でしかも客観性のある評価とするべきです。

(中略)

Q9 学校評価で配慮すべきことは何ですか?

A 1951年の文部省内学校評価基準作成協議会編「中学校・高等学校評価の基準と手引き(試案)」の中では次のようなことが述べられています。
 「学校評価は,学校自ら,あるいは外部の援助を得て自校を改善するための活動であって,学校の成績を点数や評語で表現することにより学校の格付けを行い,または校長や教師の勤務成績を評定して,監督上の資料にするためのものではない。この趣旨によって学校評価はまず学校自体による自己評価を本体とすべきであろう。」ですから,評価する側がアラ探しをするような気持ちになったり,評価される側がアラ探しをされるような気持ちになるのであれば学校評価は失敗なのです。学校をよくするということに全員の気持ちが集中することが大切なのです。これらを踏まえて次の4点を大事にしていきたいものです。

(1) 共通理解を図ります。
 校内研修会や職員会議等で話し合い,学校評価について全教職員で共通理解を図ります。

(2) 目指す姿をはっきりさせます。
 目指す学校の姿を,より具体的にします。このとき子どもはもちろん保護者や地域の考えを取り入れることが重要です。連携・一体化のきっかけになるからです。

(3) 評価の方法を検討します。
 何を,どんな方法で評価するか,さらには文章による評価とともに定量化を図ること,併せてその基準を示すことが重要です。

(4) 学校評価は両面から行います。
 学校経営・運営全般について行うことは,教職員が気付かないよさや問題の発見につながることから総合的な視点で評価することが必要です。
 一方,各学校の重点課題等への取り組みの評価などは,網羅的にならず視点を明確にして評価することも重要となってきます。この際に,マネージメントサイクルが機能することが重要となってきます。

(5) 中間評価を行います。
 どんな問題・課題もその解決に一定の決まったマニュアルだけで通用するものではないと認識すべきです。ですから,中間評価を実施し,より子どもの実態と問題・課題の実態にあった具体的手立てとなるよう努めなければなりません。すなわち,こうしたPlan・Do・Check・Actionのマネージメントサイクルの日常化が重要となってくるのです。

(2) 学校評価の方法及び手順

学校評価が次のステップを踏むことにより,結果の活用と教育活動の改善に結びつくようにするため,次のような試案を例示した。

@ 第1次評価(4〜5月に全教育活動を網羅的に実施)
学校の現状把握と地域や保護者,児童生徒の思いや期待等の情報を収集するための評価であり,この結果を基に重点的に取り組むべき課題を明確にするためのものである。

A 第2次評価(随時,取り組むべき課題について実施)
第1次評価の結果,明確になった課題について解決のための具体的手立てにより取り組み,その過程や結果を評価し,手立ての有効性を検証し,新たな改善に結びつけるためのものである。さらに,この過程においては,必要に応じて家庭,地域との間で,評価をも含めた情報の発信・収集に努めることから開かれた学校づくりにつながることになる。

B 第3次評価(11〜2月に全教育活動について網羅的に実施)
 本年度の教育目標の達成度の確認と次年度教育課程及び諸計画策定のための評価であり,第1次評価と同じ診断項目で実施する。したがって,診断項目は十分検討吟味されなければならない。
@〜Bの一連の流れをまとめると次のようになる。


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