研究紀要第134号さまざまな調査を基にして「個に応じた学習指導」を実践するための基礎研究- 017/069page
さまざまな調査を基にして「個に応じた学習指導」を実践するための基礎研究
カリキュラム研究チーム
はじめに
今,初等中等教育においては,社会の一員として社会生活を営む上で必要な基礎・基本の習得を一層徹底するとともに,自ら課題を見つけ,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題を解決する資質や能力,すなわち「課題探求能力」の基礎を育成することが求められている。
児童生徒に,このような確かな学力を身に付けさせるために,文部科学省は「学びのすすめ」等において教育現場への支援策を具体的に示した。本県においても,「うつくしま教育改革推進プログラム」を策定し,本県としての教育改革推進に向けた施策を明らかにした。これらを受けて各学校においても,きめ細かな学習指導によって基礎・基本を確実に定着させるとともに,一人一人の個性や能力を最大限に伸ばし,確かな学力の向上を目指して,「少人数学習指導」や「習熟度別学習指導」に取り組んでいる。
このような学校の取り組みを支援するために,カリキュラム研究チームでは本年度,A,B2つの班を組織して次のような内容について研究を進めた。
研究A班においては,各学校における「少人数学習指導」や「習熟度別学習指導」の取り組みの状況について調査・分析し,これまでの取り組みについて検証した。
また,研究B班においては,「個に応じたきめ細かな学習指導」の充実を図るための学習到達度調査の方法やその分析の仕方について研究した。また,このような調査・分析の研究を生かして,「確かな学力の向上」を図るための基礎的研究を推進した。
A班の研究テーマ
〜「個に応じたきめ細かな学習指導」の実施状況とその指導の在り方について〜
I A班の研究の趣旨
福島県では,国の第7次定数改善計画並びに本県の年次計画に基づき少人数授業対応教員を配置している。また,各学校でもさまざまな工夫等を行い,「個に応じたきめ細かな学習指導」に取り組んでいる。今後,各学校では,これらの成果や課題を基にして,なお一層「個に応じたきめ細かな学習指導」の充実を図っていくことが求められている。
そのため,県内の「個に応じたきめ細かな学習指導」の実施状況についての調査(調査1)と児童生徒並びに教師を対象とした「学習に関する意識」についての調査(調査2)を行い,「個に応じたきめ細かな学習指導」をさらに効果的に行うための課題について考察した。
U A班の研究の概要
1 調査1について
今,「個に応じたきめ細かな学習指導」の充実を図ることが求められている。しかしながら,T・Tや習熟度別学習指導等による少人数学習指導がどの程度実施され,どのような成果や課題があるのかについての把握がされていないのが現状である。そこで,T・Tや習熟度別学習指導等による少人数学習指導に焦点を絞り,次のように実施状況調査を行った。
調査年月日 :平成14年9月9日〜9月24日 調査校 :小学校・546校 中学校・242校 なお,本研究では,「習熟度の程度」に応じたティーム・ティーチングを「習熟度別学習指導」,それ以外のティーム・ティーチングを「T・T」と分けて調査・分析を行った。
(1) 少人数学習指導の実施状況について
県内の小・中学校に対して少人数学習指導の実施状況について調べた。