研究紀要第135号生きる力を育てる教育の情報化- 036/069page
映像は,授業での利用を考慮して内容の切り替わる場面ごとに数十秒から数分程度のクリップビデオとして編集し,画面サイズと記録方式の異なる3種類の動画形式に加工した。これは,現状の一般的な学校のインターネット利用環境(ISDN回線)と今後普及が予想されるブロードバンドでの利用環境(T1,T3回線)で流通させることができるデータレートが大きく異なるからである。本格的なブロードバンド環境が学校に普及した際にも,教材を作り替えずに済むよう,適応する帯域の異なる複数の動画形式を採用した。
動画形式 [Rea1 Video 8] ・画像サイズ 160×120
・再生帯域
(56K/D-ISDN/384Kbps)[MPEG1] ・画像サイズ 320×240
・フレームレート 29.97fps
・再生ビットレート 1,150Kbps
・プログラムストリーム[MPEG2] ・画像サイズ 720×480
・フレームレート 29.97fps
・再生ビットレート 6Mbps
・プログラムストリームまた,映像に加えられたナレーションは,テキストデータとして文字情報を抽出するとともに,映像・文字惜報をHTMLファイルで統合し,検索省*1などの全文検索エンジンなどで映像内容が検索できるように考慮した。また,HTMLの記述にXML*2の書式を取り入れることで,メタデータの構造化を図り,蓄積される教育情報量の増加によるデータベースの必要性が高まった場合にも対応できるよう配慮した。
2 教材レシピの開発
総合的な学習の時間や各教科におけるコンピュータやインターネットを活用した事例提供等の要望に応え,ITを活用したわかりやすい授業のモデルとして,地域コンテンツやインターネット上の教育資源を活用する教材レシピの開発に取り組むとともに,授業実践を行い改善を図った。
(1) 教材レシピのとらえ方
教材レシピとは,授業のための指導案,ワークシート,活用コンテンツの情報など,教師が教育用コンテンツを活用した授業実践を行う際に必要な情報をパッケージとしてコンパクトにまとめたものである。教師がディジタルコンテンツを活用した授業の見通しを持つことができ,さらに学校や生徒の実態に合わせて授業展開の工夫・応用ができるものとして教材レシピを位置づけた。
教材レシピで利用される教育用コンテンツは,ふくしま教育総合データベース,CEC教育用画像素材集,文部科学省が開発した教育用コンテンツ,インターネット上にあるディジタルコンテンツなど,学校から利用しやすい素材を対象とした。
教材レシピのスケルトン 1.単元名
2.授業概要
3.本時の目標
○単元の目標
○情報教育の目標
4.活用コンテンツ
5.実践のポイント
6.学習の流れ
【導入】
【展開】
【終末】*1 ふくしま教育総合ネットワークが提供する教育用検索サービス(http://kensaku.fks.ed.jp/)。
*2 XML(eXtensible Markup Language)は、文書構造を記述でき、独自にタグを定義できることが特徴のマークアップ言語。1998年にW3C(World Wide Web Consorhum:WWWで使われる技術を標準化する団体)により標準化勧告され、現在はインターネットのさまざまな分野での応用が進められている。