研究紀要第135号生きる力を育てる教育の情報化-042/069page
G 授業実践(中学校・2年・理科)
ア 実施年月日 実施校・授業者
平成14年11月24日(月)
福島市立福島第二中学校
阿部 孝寿 教諭イ 単元名
天気とその変化「台風」ウ 授業の概要
インターネットで提供される気象データから,台風の気象的な特徴を発見し,その理由を考え,発表する授業である。
台風の動画ディジタルコンテンツで意識づけを行い,最近の台風の進路をトレースすることで,各地の気象観測データから台風の移動に伴う連続的な気象の変化を科学的にとらえる学習である。エ 単元の目標
・台風の変化に興味を持ち,自ら進んで資料を用いて台風を調べることができる。
・台風の特徴や,移動に伴う連続的な気象の変化について考えることができる。オ 情報教育の目標
・他の情報と比較しながら必要な情報を得る。
・集めた情報を分析し,傾向や規則性を見つける。力 活用コンテンツ
・定点観測プロジェクト
・高知大学気象情報ページCEC教育用画像素材集ワークシート
キ 実践のポイント
動画コンテンツやインターネットで提供される観測データを活用することにより,身近で印象の強い台風の気象的な特徴やその理由を科学的に考え,思考力を育てることを目指す。ク 授業者のコメントとアンケート結果より
授業者より,「1単位時間で効果的な授業を行うには,授業のねらいに適した教育用コンテンツを精選することが必要である」「コンピュータを利用した授業では,T・Tによる機器操作などの支援が有効であることを実感した」とのコメントをいただいた。
また,生徒のアンケートの結果では,31人中29名が,本時の授業を「分かりやすい」,あるいは「だいたい分かりやすい」と回答した。また内容を理解できたかとの質問にも,29名が「理解できた」,あるいは,「まあまあ理解できた」と答えている。教科書や資料集だけでは説明しにくい気象の概念を,身近な場所で発生した台風による被害の画像やアニメーションによる台風の動きなどの教育用コンテンツを活用することによって身近な事象として生徒にわかりやすくとらえさせ,理解を深めることができたと言えよう。ケ まとめ
時系列で気象の変化を追う作業や気象グラフなどから天気の変化や傾向を読みとるなど,科学的な思考を求める内容では,データの精選と作業時間の確保が重要なポイントである。教師側でいくつかのモデルパターンを準備するなど,学習を支援する手だても教材レシピに加味していきたい。