研究紀要第135号生きる力を育てる教育の情報化-046/069page
3 新教科「情報」に関する実態調査
(1) 調査の趣旨
平成15年度から実施される高等学校学習指導要領では,教科「情報」が新設され,情報教育では次の3つの観点を育成することが重要とされている。
・情報活用の実践力
・情報の科学的な理解
・情報社会に参画する態度
しかし,教科「情報」免許付与のための講習会に参加した受講生からは,自分の専門教科と異なる教科を教えることへのとまどいや不安が聞かれた。
このような中で高等学校における情報教育の目標を達成するためには,教育センターとしての「学校への支援の在り方」「授業担当者への情報提供の在り方」「研修の在り方」を検討することが重要であると考え,この調査を実施した。(2) 調査の内容
@ 調査期間 平成14年9月12日〜9月27日
A 調査時点 平成14年8月31日現在
B 調査方法 Webによるアンケート
C 調査対象 教科「情報」を実施する県立学校の授業担当予定者
D 調査内容 ア 教育課程・設備・備品等に関するアンケート(学校単位)
イ 授業担当予定者に対するアンケート(教員単位)
E 回答数 学校 78校(分校を含む)
授業担当予定者 140名(3) 調査の結果
@ 教科「情報」の実施学年および実施科目の割合
教科「情報」の実施学年は第1学年が約70%,実施科目は情報Aが約90%と最も多い。しかし,中学校までにコンピュータに慣れ親しんだ生徒たちが入学してくることを考えれば,「情報の科学的理解」に重きを置いた「情報B」,「情報活用の実践力」および「情報社会に参画する態度」に重きを置いた「情報C」を実施することも考えられる。A コンピュータ室のインターネット等整備状況
可能・不可の基準は「利用可能台数/全台数」の値によって次のように分類した。
可能:80%〜100%,大部分可能:60%〜79%,ある程度可能:40%〜59%,大部分不可:20%〜39%,不可:0%〜19%
コンピュータ室のインターネットやLANの整備状況は二極化しているが,現在も校内LAN事業により計画的に整備が進められており,県立学校の大部分は今年度中に整備が終了する予定である。当面,少し不便な学校もあるため,各学校の実態に応じた対応を行う必要がある。B 重点的に指導したい分野
重点的に指導したい分野を2項目ずつ挙げてもらったところ,「情報活用の基礎」と「情報化と社会」が特に多かった。これらは情報の収集・加工・発信,情報化の影の部分への対応など,情報教育の根幹をなす部分である。つまり,授業予定者のほとんどが,教科「情報」の目標を正しく理解していることがうかがわれ,大変望ましい状態にあると言える。