研究紀要第135号生きる力を育てる教育の情報化-048/069page
V 研究のまとめ
1 地域コンテンツの教材化
各市町村をはじめ関係機関の協力を得ることにより,数万規模の写真やビデオ類などの地域素材が収集され,地域コンテンツの整備が進められた。全県的かつ大規模な地域資料収集事業ははじめてということもあり,市町村による素材の収集量にばらつきが見られた。児童生徒の地域学習教材として利用されるには,県内全域の地域情報が網羅的に整備される必要がある。さらに,外部協力者等の協力や支援を得ながら「ふくしま教育情報データベース」に蓄積された多種多様な地域コンテンツを教育利用の観点から整理・分類するとともに,授業の視点から学習内容と活用できる地域コンテンツの対応を整理するなど,教材として利用しやすい情報提供の在り方についても研究を深めていく必要がある。
2 教材レシピの開発と授業実践
教材レシピの開発は,「福島県の情報教育の実態等に関する調査」の結果や研究チーム内での議論により,教科・領域の指導におけるITの有効な活用(教科の情報化)をテーマとして取り組んできた。反面,間口が広くなりすぎて研究が拡散してしまったという反省がある。今後は,情報教育に焦点化するなど,教材開発の方向をある程度絞り込む必要があると考える。その際,特定の学校や生徒の実態によらずに活用できるよう,できるだけ簡素化し,汎用性のある教材レシピとすることが必要である。
今後,外部協力者との連携により地域コンテンツを含めた教育用コンテンツを活用した教材レシピをより多くの教科・領域で整備していく必要がある。3 新教科「情報」に関する実態調査
高等学校における教科「情報」の目標を達成するため,教育センターが授業担当者を支援するためには,次のような対応が必要である。
(1) ハードウェア・ソフトウェア等の整備について
機器の整備は県の年次計画に基づいて進められているが,機器やソフトウェア不足にも対応できるよう,実現可能な方法に関する情報と研修を提供する。(2) 「情報教育」に対する理解を促すために
教育センター等で行われる研修を含め,あらゆる機会を通して「情報教育」の重要性と有効性を説明し,体験を伴った研修を実施する。(3) 授業担当者の不安を解消するために
授業担当者の不安を解消できるよう,二ーズに沿った研修及び情報交換の場を設ける。教科「情報」は新しい教科であり,校内に相談できる先生が少ないので,情報交換や共同作業を通して指導案や指導方法などを検討する研修は非常に重要である。また,普段から情報の交換や共有ができるようメーリングリストも設置する。
教育センターでは,今回のアンケート結果を基に,平成15年度には教科「情報」授業担当者のための講座を新設する。主な内容は,「授業設計」「情報モラル・著作権」「コース別演習(マルチメディア/ネットワーク)」である。この研修を通して情報教育の目的が達成できるよう授業担当者を支援していきたい。
最後に,福島県学術教育振興財団からの助成をいただき,研究を円滑に進めることができたことを併せて報告し,謝辞に代える。〈参考文献・Webサイト〉
1) 新「情報教育に関する手引き」(文部科学省,2002)
2) 福島県教育センター
http://www.center.fks.ed.jp/
3) ふくしま教育情報データベース
http://www.fks.ed.jp/DB/
4) 岡山県情報教育センター
http://www2.jyose.pref.okayama.jp/
5) CEC,IPA「教育用画像素材集サイト」
http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/
6) 火曜の会 Home Page
http://www.kayoo.org/home/