福島県教育センター所報 創刊号(S46/1971.6) -002/012page
待望久しかった福島県教育センターが4月1日をもって発足いたしましたことは,まことによろこびに堪えません。ご承知のように,このセンターは,福島県教育研究所,福島県理科教育センターを発展的に解消し,新たに情報処理教育,教育相談,宿泊研修のための施設・設備等を加え,ここに全国的な規模から言っても屈指の偉容を誇る教育の殿堂として誕生したものであります。
これはひとえに関係各方面の絶大なご尽力の賜ものでありますとともに,教職員各位の永年にわたる熱意と要望が実を結んだものであると思うのであります。
情報化社会の出現,教育工学的手法の開発や教育未来学の台頭に伴なって,教育内容・技術の現代化の要請は日増しに高まってきております。このような世界的潮流の中で,いわゆる教育爆発,教育革新の時代的要請に応えるため,その担い手である教職員の研究,研修は,今日ほどその重要性が高く認識されている時代はないと思うのであります。このような時代的要請に即応し,教育現代化のための可能な限りの施設・設備を備えたセンターの開設となったものであります。
昭和46年度は43講座にわたる研修が計画され,約2,000人の教職員が,センターで宿泊研修を行なうことになっており,これは本県教育界にとって,画期的なことと思います。研究事業につきましては,[1]学校経営改善に関する研究,[2]小学校における教授組織に関する研究,[3]子どもの社会認識に関する研究,[4]福島県診断標準学力検査問題の研究,[5]学習指導上の問題点の分析的研究が行なわれ,その研究報告書が刊行され,これが研修講座にも活用されることになっております。教育相談事業については,教職員の研修を行なうとともに児童・生徒についてカウンセリングを行ない,適切な援助,相談を行なうことになっております。資料普及事業については,教育に関する専門図書館,資料センターとしての機能を果たし得るよう教育図書および資料の収集を計画的に実施し,学校,地域における教育実践,研究活動をより推進させるため,研究成果の普及および文献,資料等の提供を行なうわけでありますが,この中には,福島県教育史の編さん刊行も含まれております。このことは,先人の文化史的業蹟を発掘し,その遺産を継承するとともに,将来の本県教育の振興を図る目的を持った大事業で,いわば福島県教育の歴史的集大成といえましょう。
本県教育センターが発足し,以上のような各種事業が活発に展開されることにより,「未来を開く豊かな教育」のスローガンに向かって,本県教育界が教育の現代化に取り組むとき,必ずや県民の願いに応え,現下教育界に課された国民的要請に応えることができるものと確信するものであります。
これらの事業の成否は,センター所員はもとより,県下の教職員および関係機関の,教育の現状認識と将来のあるべき姿を踏まえたうえでの協力のいかんにかかると言えましょう。この福島県教育センターーの最大限の効果的活用が行なわれるよう熱願いたしますとともに,本県教育が飛躍的に振興発展することを祈念するものであります。一言申し述べてごあいさつといたします。
福島県教育委員会教育長 三本杉 國雄