福島県教育センター所報 第2号(S46/1971.8) -003/023page

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れ一つの言語理論(1inguistic theory)であり,言語という神秘的なまでに膨大な現象の前にあっては,決してそのすべてを解き明しえないのではなかろうか。

  われわれ英語教師もお互いに日々の指導に問題意識をもち、自已研鑽につとめ,情報を交換し、よりよい英語教育の実践に努力していきたいものである。



「目本の音楽」(民謡・わらべうた)の取り扱い

第1研修部  佐 藤 政 夫

 近来伝統的な日本の音楽が重視されてきた。小・中・高の指導要領にもそれぞれその重要性がのべられ,特に来年度から実施される中学校の指導要領には,目本の音楽について強くうちだされている。

 自国の伝承音楽を貴重な文化財とし,さらにそれを近代化し,今日的嗜好に合うように努めるのはヨーロッパ各国をはじめとして全世界的傾向にある。わが国においても音楽教育がはじまって80年,長調・短調の洋楽一辺倒で今日にいたったが,最近音楽文化の面でようやく「目本人の,日本人による,目本人のための音楽」の必要性に目覚めてきた。これは明治以来文化的にも経済的にも資源を外国に求めて発展してきた目本が,こと音楽の資源はわが国に豊かにあることに気づいたことにもよると思われる。

 現在目本の音楽,とりわけ日本民謡を取り扱う場合,最初にうける低抗は,生徒のもつ日本民謡への印象である。目本民謡といえば大人の酒席の歌であるという印象が,噺ことばにふざけた態度をとる。ここに洋楽の場合と違った指導上の工夫が必要となる。

教師の意識と日本民謡の構成要素

 目本の音楽の取り扱い上大切なことは,第一に教師の目本の音楽に対する意識であり,即ち民謡・わらべうたの意味と教育的価値をじゅうぶんに自覚することである。第二に日本の音楽の内容の核心を明確につかみ,具体的な方策を検討することで即ち民謡・わらべうたの構成要素をとりだし,洋楽と違う特長を洋楽を指導するように確信をもって取り扱うことである。

(1) 民謡・わらべうたの意味と教育的価値

 民謡・わらべうた・民舞はたとえば野山に茂る草花のようなものである。それは大地と太陽の恵みを受けてぁ気誇るのである。それぞれの民族の音楽へのあこがれは、民謡として歌いたがれ、民舞として踊り伝えられた。それらの中には風土と民衆生活の強いかおりが漂っている。民俗音楽には地方の風俗・習慣・伝説などが密接に結びついているから、郷土派の愛着をそそるとともに、その素朴で、自然な表現は他国の人々を強くひきつけてやまない。このように民族の生き続けてきた社会生 活の場に根をおろし育った民謡・わらべうたは民族のこころ伝統であり,人々に愛郷心と文化への尊敬心をたかめ,人間に平等と尊厳を教えるものである。
(ユネスコ・民主主義民族芸術思潮より)

 (2) 目本民謡・わらぺうたの構成要素

 1. 音階

 日本音楽構成要素の先ず一番にあげられることは、陽旋法と陰旋法である。(中学校指導要領では陽音階・陰音階)この音階については長音階・短音階同様に成たちを理解して取り扱う必要がある,この二つの音階は江戸時代に民間に流布した二大旋法であり、日本民謡・わてらべうたを取り扱うにはこの音階の成り立ちをじゅうぶん理解し理解させることにより児童生徒の心に訴えることができる。

 では陽旋法の成りたちとは,イ音をき基音とした第1図音の音階であり,イ調陽旋法(音階)とはよばない。また陽旋法の基音は法は江戸時代に八橋組がつくられ平のがのち陰旋法(音階)とよび、ト調よ陽施法とはよばない。また陽施法の基音は(レ)である。陰施法は江戸時代に八橋組がつくられ平調子とよばれていたのがのち陰施法(音階)とよばれるおうになり、第2図の音階である。ホ調陰旋法とよび基音は(ミ)である。この二つの旋法は対照的であり,陽施法は単純・素朴・野趣であるのに対し,陰旋法は優雅・繊細・陰気である。教材について長調・短調の曲とわかるように、日本民謡・わらべうたについてもどちらの施法でできているかを聞き分けられることが必要である。

 2. 旋律

 日本の音楽は日本旋法の隣りの音隣理の音へと音列を順次進行し、音列をとぶときは「さきうめ」「あとうめ」ということがある。陽音階においてはミが完全終止、属音のシが半終止である。つぎに慣用句(ミドシラ・シラファミ等)が日本音楽の大きな特徴で各教材の中で、この慣用句を見定めて取り扱う必要がある。

 3. リズム

 中学校の指導要領に「拍節的でないリズム」とでているがこれは洋楽のフォモフォニーとかポリフォニーなどとならべてヘテロホニーと解釈される、これは慣用句とともに日本音楽の特徴で第3図のようなリズムである。


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