福島県教育センター所報 第2号(S46/1971.8) -004/023page

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 4. 合唱について

 日本人は大昔から一つの旋律を多人数で演奏していくことがその演奏の基調となってきたが,目本の音楽を進展させ教室の中にいれるに,一層芸術的に扱うため合唱型にする必要がある。それがため機能和声は絶対につけることができない。そのかわり,固執音形とオブリカート的助奏を対旋律に扱うことである。


第1図 第2図 第3図

工作科不振の原因とその対策について

第1研修部  藤 田 利 雄

  図工科や美術の先生方の集まりで,工作をどのようにしたら振興できるか,との話し合いになると,まず施設.設備が不じゅうぶんである。材料の入手が容易でない,校務に追われて生徒の作品の保管整理や新素材による教材研究の時間がない。教材の選択に迷うなど,よく話題として出され,今の段階としてはどうにもならないと,あきらめムードに終わってしまうことがよくみうけられる。

 これではいつまでたっても問題は解決されないだろう。工作科振興の方策としてはいろいろな観点があるであろうが(1)教科性の確立(2)施設・設備の問題(3)知育偏重教育の是正の三点にしぼって考察してみたいと思う。

(1) 教科性の確立

 工作科の歴史は,その出発が実用教育(手技教育としての手工教育)から始まり,作業科工作の時代をへて戦後始めて図画工作科として独立した一科目となったもので,明治19年以来昭和22年に至るまで,常に他の何らかの教育目的に便乗,ないしは利用されてきた。したがって必然的に技術中心に,模倣製作,実用品製作の教科であったと言っても過言ではないだろう。

 新しい工作を確立するためには,一応この古い考えを打破し,「創造性」「芸術性」「機能性」にたつ工 作教育の確立につとめなければならない。描画や彫塑領域ではほとんど問題とならない機能性こそ、工作の独自的なもので、この条件をふまえなければ工作教育は成り立たないと考えられる。「図工とは絵を描く学科だ」ぐらいに思われすっかり児童画に食われている現状はなぜなのだろうか。紙で箱を作らせるにも、単に箱を作らせるのではなくて、物をいれる(何をいれるかによって)という機能を生み出す仕事としてかんがえさせなければならない。したがって箱を作るのではなくて、子供たちにどうしたらものが入る形になるか(入れるものによって使用材料もことなってくる)と、工 夫をさせて初めて各種の材料機能練習と,合目的構成による作品機能練習が体得される。工作教育の原理を樹立し,学習の意義を確立するためのは、今こそわれわれは機能性と創造性を大きくとりあげるべきときにきていることを自覚すべきである。

(2) 施設・設備の問題

 「まず容れものを確保せよ」階段下の利用。生徒昇降口の一部の利用。学校物置の整とんによる空間の利用。考えれぱ何かしら一つの部屋を持つことができると思う。図工室らしいものができたら自然と内容も整備したい意欲が出てくるだろう。備品等もないよりはあるにこしたことはない。しかしなければないようにくふうの余地もあるはずである。小学校ではあまり工具にたよらずに,手だけでできる工作を考え、中学校に進んだら工具を中心とし(技術家庭科の設備利用),高校で始めて機械をもって作る工作へと移るように考えてはどうだろうか。手の機能を高度化したものが工具であり,これを更に動カ化したものが機械であって,あくまでも手の機能を忘れて工具や機械を考えてはならないと思う。何をつくるかよりも手のどんな機能を発達させるかに意義をおいて教財選択をすべきであろう。ものをつくることとは,「切断」と「接「合」がその基本であって,これによって 素材を機能的に構成することであるとも言えるであろう。

 材料の工作を考えると「内部抵抗」と「外部抵抗」の二種類の材料抵抗があるが、これをどのように工具等で処理して行くかが教師の教材研究の主眼でもあると思う。たとえば角材に彫刻刀やのみで大きく深い穴をあけさせるよりは、板材に糸ミシン機で穴をくりぬかせ、それを何枚か重ね合わせて深い穴にした方が子供にとっては、抵抗が少なくしかも自由な穴が作りやすいのではなかろうか、内部抵抗は子供1人1人の発達段階によて指導がなされるべきであるが、上記のような外部抵抗については、教師は子供の発達段階に


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