福島県教育センター所報 第2号(S46/1971.8) -005/023page

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応じた材料と工具使用能力に対して、はっきりと限度をとらえておく必要がある。

 工作材料を形の上から分類してみると

(1)線材・・・針金、ひも類、竹ひご、ゴムひも、糸など。

(2)面材・・・紙、ボール紙、板材、プラスチック、ガラス、布類、ベニヤ板、ハードボードなど。

(3)立体材・・れんが。ブロック、石材。角材、粘土など。

 このように大別されるがこれらの素材を、接合の二つのめんからの工作法に応じて、効率的に工具や機械を整備したらどうだろうか。材料を機能上から検討すると同時に、形や色の上からもtりあげて、材料の処理方法を工夫し、それに必要な工具をあたえて新しい機能と美の創造を子供の世界に、ちょうどよい程度に持ち込むことにわれわれ教師は努力すべきである。設備がないから、材料が買えないからと言って逃避してはならないと思う。最近出まわっている新工作材料には、比較的工作が容易で、しかも工具などをそれほど必要としないものがあるので、これらの面にももっと目をむけるべきではなかろうか。いろいろな材料の中に子供をおくと必ず触ってみたり、たたいてみたり、ぶっつけてみたりしてやがて何かをつくりだすものである。工作とは立体表現のこである。素材を立体化する技術(工具、機械の使用法を含めて)を持ち、しかも技術について、正しく深い考えをもつものこそ、理想の工作教師と言えるだろう。

(3)知育偏重教育の是正

 この問題はかなり重大な障害となっている。特に本県の場合は美術科が高校入試受験科目から除外されることによって、美術科軽視に一段と拍車をかける結果になっている。学校教育が知性に重点を置くのは当然であるが、現状は幼稚園から大学まで入試専用の知識のつめこみに終始している観がみられる。しかしながら本当の知育が行われるならば工作が重んじられなければならないと思う。図工の知性面は工作の仕事の中にある。うくる目標を、意識的につかんで仕事をする必要はあり、このためには当然知性の動員を必要としてくる。私たちは推理力や合理性について、工作教育に期待するところが、きわめて大きいことを呼びかけ、こような知性が具体性を耳もって、生活力化することを強調すべきであろう。


水泳と体力づくり

第1研修部  岡 田 貞 夫

 ある月刊雑誌に「夏に鍛える。」という肥満児グループの特訓のようすがのっていた。最近の傾向として高度経済成長に伴って子どもの肥満児の増加が各地でみられる。彼等は太りすぎのため動作が緩慢で運動ぎらい、ひいては体力の減退、仲間はずれという社会性への問題へと進んでいきがちである。そのような時、夏休みを利用して自然に親しみながらのこの特訓はどうだろう。トレーニングを受ける子どもたちの明るい表情は! 目の輝きは! 何ものにも代えがたいものといえる。「子どもたちは運動することが大好きなのである。教師はこのことをわすれてはいけない。」この特訓のスケジュールを見ると水泳の時間の占める割りくぃの大きいことに驚く。水泳は理想雨滴名全身運動といわれているゆえんではなかろうか。水泳について述べてみよう。

 1. 学習指導要領と水泳

 新学習指導要領では全般的に「体力」が非常に強くうち出されている。水泳は従来「その他」にはいっていたが、こんどは必修となりウェイトが非常に重くなっている。このことは水泳の教育的、体育的価値を認め、それを小、中、高校通してやろうとする意図がみられ、「国民皆泳」という点からも非常によいことと思われる。また「水泳の心得」はプールの有無にかかわらず安全の面から強調されている。

 教材内容をみると、小学校においては初心者を対象とした内容で、1〜2年が水慣れ浮き、3〜4年が初歩、5〜6年が基礎的技能の三段階にわけている。中学校では水泳は能力差が大きいので、能力別指導の必要を考え学年別の目標を取り去って能力別の初歩的段階、進んだ段階、さらに進んだ段階とにわけている。高校では「泳ぎ」「飛び込み」「救助法」とに分け中学校の段階にならっている。このようにして1人1人が水泳ができそして自己や他人の安全を守れる国民をそだてる。すなわち「国民皆泳」をねらっている。

 2. 水泳の特性

 水泳は水の中で行われる運動である。したがって陸上における他の運動群と比べると、呼吸、浮力、抵抗など多くの相違点があり、特に泳げない者にとっては生命の危険を予想しなければならない。また陸上での運動は常に重力の影響下にあり、そのため少なくとも自分自身の体重を支える脚、腕の力は必要である。水泳はそれら


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