福島県教育センター所報 第2号(S46/1971.8) -006/023page

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の重力の影響をあまり受けないが、自己を支える支持点や運動を起こす力点などが固定せず、水に慣れぬ者にとっては不安定である。しかし運動嫌いな肥満児でも肢体不自由児でも小児マヒの子が水泳練習の結果水泳大会でよい記録を出し入賞するなど人格形成の上に大きな役割を果たした例をよく耳にする。

 3. 水泳運動と体力つくり

1. よく水泳をやると全身が疲れるという声をきくことがある。陸上の運動でも全身の疲れもあるが部分的な疲れのおこる運動が多い。それに対して水泳は全身運動である。手足を左右均等に動かし水の抵抗を利用して運動が行われるから全身の疲れがおこる。このことから水中における平衡性、タイミング、腕、脚、全身にわたる協応性を高めることができる。浮くとか浮いている状態は水中で様々なからだのバランスをわれわれに教えてくれる。

 2. 水泳は非常に激しい運動であるといわれている。事実100M競泳による酸素需要量は陸上の短距離走運動に次ぐ高い値を示しているといわれる。泳ぐことにより酸素負債能力を高めること、すなわち心臓や肺臓の機能を高めるためにも水泳は効果がある。

 3. 水泳は筋力を高めるためにも効果的である。水の抵抗は水中を動く物体すべてにはたらきかけその大きさは、およそ速度の2乗に比例する。この抵抗の強さが筋力トレーニングのための適正負荷をわれわれにあたえてくれる。いわゆる全身の大筋群の発達を促進し均整のとれた身体の発育に役立つといえる。

 4. 水泳運動は防衛体力を高めるために役立つといわれる。水泳は裸に近い状態で、日光、空気、水などの自然環境にふれることにより、暑さ、寒さなどに対する抵抗力が高まり、皮膚の鍛錬に効果があるといえる。

 4. 水泳と体力要素分析

 水泳をやることによりすべての体力がつくということはいえない。小学校で行われる水泳運動を体力の要素ごとに分析してみると次の表のようになる。

体力要素分析表
運動名/体力要素 筋力 持久力 敏捷性 巧緻性 可動性 瞬発力 平衡性 備考
水泳 水中歩き(走り)       筋力要素は下肢筋

水中で開眼、息はき
顔つけ   1,2          
伏し浮き            
沈み方、浮き方、立ち方            
面かぶりクロール  
平泳ぎ 3.4.5.6. 3.4.5.6.   3.4.5.6. 3.4.5.6.    
クロール 4.5.6. 4.5.6. 4.5.6. 4.5.6. 4.5.6. 4.5.6. 4.5.6.
立ちとびこみ        
さかとびこみ     5.6. 5.6.   5.6. 5.6.
潜水    

【注】中の数字は各学年を表す。


三隅珠一氏による。

 5. まとめ

 水泳をしていれば上述した体力が自然に十分に身につくわけではない。水泳の指導においても、 泳ぐ技術を高めようとする中で、体力を効果的に高める必要があろう。 泳げない人にその理由を聞いてみると、水泳練習の経験がなかったか、水泳練習時間が少なかったことがわかる。泳げるようにならなければたいりょくの云々はいえない。したがって泳げるようになるためには、 練習時間をじゅうぶんとるような配慮が第一である。 畳の上の水練ということばがあるように、説明を長くして実際は水の中での水泳練習をさせないと泳げるようにはならない。これまで現場の指導で体力トレーニングの原則に即した水泳の効果的な 指導法の工夫 はあまりおこなわれなかった。このような練習方法を明らかにすることは、今後の重要な研究課題のひとつといえよう。福島の北にある桑折の町に住む75才のおばあさんが現在も若い人にまじって元気に水泳を楽しんでいるという。人間と水との縁は深いものであr。母の胎内では腹水で泳ぎ、生まれるとうぶ湯で泳ぎ、成長するとプールで泳ぐというように!

 このように泳ぐことによって健康が増進されることは明らかのようだ。大いに泳ぎ体力をつけるには 教科体育の充実が最も重要である。 教師は運動教材に精通し、技能を高める努力が必要であり、講習会や研修会等に積極的に参加し、校内研修会を定期的の設けて教師相互の指導力を高めていくことが大切であろう。


技術・家庭科

内燃機関のインジケーター線図の考察

第2研修部  遠 藤  徳

1. 設定の理由

 3年の機械学習の実習例として考えられるのは、内燃機関の整備である。内燃機関の種類については生徒の実態、学校の施設設備・地域社会の実情などから、モーターバイク・スクーター・石油発動機などが考えられる。

 取扱い上重要なことは作動だけではなく、中学校の理科の力とエネルギーとのつり合いを考えて熱効率まで発展させるべきであると新指導要領にも明示されている。


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