福島県教育センター所報 第2号(S46/1971.8) -007/023page

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しかし、モーターバイク・スクーターなどの走行運転は絶対に実習させてはならない。したがって内燃機関の学習は機構・構造・測定を中心として、内燃機関の整備を重視して取り扱うことが必要である。そこで内燃機関の基本サイクルであるインジケータ線図(P−V線図)の測定を通してサイクルの状態・機関の性能に関する基礎的事項について考察してみる。特に時間的に変動する圧力を測定するので無負荷回転速度試験の結果についてのみのべる。

 2.用具

 (1) ガソリン機関
形式 空冷4サイクル直立短気筒ガソリンエンジン
行程容積 182cc.
定格出力 3.5ps/3600r.p.m
最大出力 5ps/3600r.p.m

 (2) 指圧計
形式 EPM型エンジン指圧モニター
概要 MP型エンジン指圧計、エンジン点火栓用分岐アダプタ、ADM/2型ストローク検出器及びブラウン管オシロスコープに表示するための2素子の増巾器からなっている。
構成 写真 1.は本装置で第1図のようなブロックダイヤグラムで構成されている。

写真 1
写真 1

第1図
第1図


 (3) 回転速度計
型式 TO-12S・ストロボスコープ
性能 閃光周波数:100〜12,500r.p.m
   精度 2%以内
   閃光時間:5μSec〜1μSec
構造 電源:100V 50〜60c/s 約47VA
   直接ダイヤル駆動式

 3. 材料
ガソリン 潤滑油、分岐アダプタ冷却水 工具一式

 4. 方法

 (1) 測定準備
   1.機関を点検し、燃料、潤滑油を補給する。
   2.機関を始動し、10分位暖機運転を行う。
   3.試験回転数をあらかじめ決めておく。 2000r.p.m 絞り弁開度50%
   4.機関を停止させ、測定器のスイッチをONにし測定器の調節を行う。

 5. 測定

 (1) 機関の回転速度を試験回転数にする。安定して運転する時間は3分以上とする。

 (2) ブラウン管オシロのX軸、Y軸にはエンジンのストローク及び指圧が入力され、エンジン指圧と容積の関係が第2図の様に表示される。

第2図 ブラウン管オシロ上のP−V線図
第2図 ブラウン管オシロ上のP−V線図


 6.結果

 第2図のP−V線図を考察するため内燃機関の基本サイクルと比較してみる。

 内燃機関では、動作ガスが1サイクル中に空気、混合気、燃焼ガスなどの形にいろいろと変化し、そのため状態変化も簡単な経路をたどるものではない。しかしある仮定を設ければ、この複雑なサイクルを理論的に取り扱うことができる。この基本サイクルは第3図のようになる。

第3図 基本サイクル(オットーサイクル)
第3図 基本サイクル(オットーサイクル)


A→B:圧力一定で動作ガスを吸入する。
B→C:吸入したガスを断熱圧縮する。
C→D:容積が一定で動作ガスの温度と圧力が上昇しOの状態になる。
D→E:ガスが膨張する。
E→B:1定容積のもとでガスの温度と圧力がBに下がる。
B→A:動作ガス排出。

 実際のガソリン・エンジンでは、混合気がC附近で爆発し、圧力が急激に上昇してDに上がり、同時にエンジンの内部から燃焼熱を発生する。

 (1) 基本サイクルとの比較

  測定のサイクルと基本サイクルとのおもな相違点をあげると次のとおりである。

   1. 測定サイクルは吸入・圧縮の行程では空気、または空気と燃料との混合気であるため燃焼・膨張の行程では燃焼ガスであり、また、その成分の割


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