福島県教育センター所報 第2号(S46/1971.8) -008/023page

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合もエンジンの運転状態により変動する。

 2. 完全な等容・等圧・断熱などの変化を起こすことができない。すなわちB→C、C→D、E→Bの作動が不確実である。陰人の作動中、動作ガスからは常に多量のねつがシリンダ壁を通して外気に逃げるので、断熱変化を行うことは不可能である。また、燃焼も理論で考えるように容積一定、または圧力一定の状態では実際に起こり得ず一部の燃料は、膨張行程の終り近くまでも燃焼を続けて熱損失を増している。

 3. 吸気の際のバルブや吸気管での流動抵抗、吸気の余熱、バルブ開閉時期の不適当、エンジンの高速回転などの原因でシリンダ内に吸い込まれる新気の量がシリンダ容積よりも小さくなっている。また、バルブは下死点より少し前に開くために、燃焼ガスの圧力も膨張行程の最後までは有効に利用できない。以上のようなさまざまな要因のために測定サイクルのP−V線も形のくずれたものになっている。

(2) 図示平均有効圧力と図示馬力

 実際にピストンのうえに加わる圧力は、行程中にさまざまに変化しているがこれを平均した値を図示平均有効圧力という。第2図に測定したインジケーター線図においてたび形の面積CDDEはこのサイクルが外部になした仕事を表し、面積ABEAは吸入排気の行程を行うために費やされた損失仕事になる。前者の面積 W
            後者の面積 W (損失仕事)
            1サイクル中の有効仕事 W(有効仕事)とすれば W=W 1 ーW 2

 このWに相当する面積を行程体積に相当する長さで割ればたび形の平均高さを出すことができ、っこれをP−V線図のもつ圧力の尺度で読めば図示平均有効圧力をPmlで表し、これらの間の関係式は次の通りである。※は測定値を示す。

関係式

ただし
Pml:図示平均有効圧力(kg/cm 2 )※{6.08}
Vh:行程容積(cm 3 )          { 182}
D :シリンダ内径(cm)       ※{ 6.5}
S :行程(cm)            ※{ 575}
Z :シリンダ数             {  1}
m:回転速度(γ・P・m)       ※{2000}
a :4サイクルでは a=1/2      { 1/2}
ηm:機械効率(線図係数を含む)   {0.81}

 7. まとめ

 図示馬力は測定サイクルでは2.46PSである。負荷試験を行って軸出力と軸トルク、燃料消費率の測定をして機械効率を算出すればガソリン機関の性能のあらましを理解することができる。


中学校教材

火成岩の観察とサリチル酸フェニルの結晶の実験

第2研修部  渡 辺 専 一

 1. はじめに

 一般に地学的領域においては、事物および現象を観察したり、種々の方法で分析的に考察を加え総合的に判断し解決していく、いわゆる探求の学習が重視される。

 しかしながら地学の大部分の現象はそれらの変化のすべてを観察する事が不可能である。それは 長時間の緩慢な変化(時間的な概念)広大な空間における変化(空間的な概念) の中での観察を要求されるからである。

 ここに、ある一つの仮説にもとづくモデル形成が必要になるであろう。そして再び自然の現象の観察にもどって仮説の修正なり、推論なりがおこなわれ、次の段階に進展するものと考える。

今回は地学領域のこうした問題点を補う意味でサリチル酸フェニルをもちいて火成岩の生成機構の指導について検討するものである。

 2. 火成岩の観察

 火成岩の学習の中でもっとも重要な事はマグマから各種の岩石が形造られるまでの環境条件の差異を推論させることにある。

 そのために野外での岩石の産状、他岩(堆積岩類)との相互関係の観察や、室内にあっては岩石(特に安山岩類、はなコウ岩類)の組織、構成粒子の配列などの観察が必要となる。この場合中学校の段階では特に深成岩類の組織(完晶質、等粒状組織) 、火山岩類の組織 (半晶質、斑状組織) などのちがいを生徒各自が観察の中で把握す


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