福島県教育センター所報 第2号(S46/1971.8) -014/023page
2. 電流によって生ずる磁界の観察
6年には、電磁石の教材がでてくるが、電流によって生ずる磁界の観察はどうすればよいかを考えてみよう。
ここでも、鉄粉や磁針を用いて調べることができる。ただ、鉄粉を用いる場合には、大きい電流必要とするので、そのためのくふうがいる。
(1)直線電流による磁界
図ー6は、0.8mmのエナメル線を□形に5回巻いて直線部分にベニヤ板が位置するようにしたものに電流を流して作ったものである。図の場合は、電源装置で10アンペアの直流を流しながら、鉄粉をまいたベニヤ板を軽くたたいて作った例である。この場合、直線電流の強さとしては、10(A)x5(回)=50(A)の強さの電流がながれていることと同じになる。
電流の強さを買えて調べてみると、なんとか磁石の方向が判断できる程度でも、20アンペア以上の電流を必要とした。また、蓄電池を利用して、鉄粉をまいた板を軽く振動させながら2〜3度ショートさせると、きれいな磁力線を作ることができる。
図ー7は、前と同じ装置で、鉄粉のかわりに小形の磁針を並べ、電源装置で6アンペア(直線電流としては30Aの電流を流したときのようすを示したものである。このような磁針を用いた場合には、電流を順次強くしながら磁針の振れ方を観察させると電流の強さとの関係、磁力の向きとの関係などがとらえやすい。
また、この直線電流による磁界の理解は、つぎの円電流、コイルに流れる電流(電磁石)による磁界を考える基礎となる。
(2)円電流による磁界
円電流は、直線電流をそのまま円形に変えたものと考えればよく、実験も前項同様の方法でできる。
図ー8は、0.8mmのエナメル線を直径7cmの円形に5回巻いたものに、10アンペアの電流(計50A)を流した場合の例である。また、磁力線のようすがなんとかわかる程度でも、円電流として20アンペア以上の電流が流れるようにしなければならない。
それで、以上のような実験をするのには、蓄電池があればよいが、小形の電源装置を用いる場合には、0.8〜1.0mmの太さのエナメル線を10〜20回巻いて作れば、3〜5アンペアの電流でじゅうぶん実験ができる。
次の図ー9の写真は、径1mmのエナメル線をコイル状に一回巻いたもので作った鉄粉による磁力線である。方法は、鉄粉をまいたベニヤ板を軽く振動させながら蓄電池に2〜3度ショートさせる。また、この装置に10アンペアの電流を流した場合には、コイルの内側だけが、それらしい模様ができる程度であり、少なくとも30アンペア以上の電流が必要である。