福島県教育センター所報 第2号(S46/1971.8) -015/023page

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センター研修室だより

国 語 科

松 浦 淳 一
                         石 井 喜美雄

 本年度、当教育センターが実施する、国語科関係の研修講座の研修回数・人員・期間・内容・方法などについて、その概略を紹介したいと思います。

 まず研修講座の数ですが、福島県としては初めての性質のもので、8月から開始する関係もあり、小学校・中学校・同等学校ともおのおの1講座ずつに

 また研修の人員と期間は、小・中学校については、どちらも40名を対象として、前・後期おのおの5日間ずつ、計10日間の研修を行います。また高等学校については、30名を対象にして、5日間の講座を開設します。これらの各講座は、当センターが実施する研修の中では、比較的長期のものになります。

 つぎに研修講座の内容ですが、大きく分けて二つになります。その一つは、国語科の授業担当者として、より充実した国語教育を実践するために必要な国語学・国文学・漢字学・学習指導法など、国語教育にかんする専門的な分野についての研修領域であります。またもう一つは、教育の現代化に対応して、いっそう科学的かつ本質的な教育を展開するために必要な教育制度・教育課程・教育工学・教育研究法など、教育全般にわたる基礎的な分野についての研修領域であります。

 この内容について、具体例をあげて説明しますと、小・中学校国語科指導研修講座では、教科の専門的な分野に属する講義として、「語彙と構造」(福島大学教授菅野宏氏)「現代詩の鑑賞」(福島大学助教授木村幸雄氏)「文学教育の問題点」(福島大学講師村上直治氏)などがあり、教養的な講義としては、「日本教育の課題と教師」(立正女子大学教授大森晃氏)「教育心理の諸問題」(福島大学教授工藤正悟氏)などがあります。

 高等学校国語科指導研修講座では、強化の専門講義として、「古典教育の諸問題」(東京教育大学教授峯村文人氏)「国語語彙の特質」(東北大学教授佐藤喜代治氏)「中世文学の一主題」(福島大学教授鈴木久氏)「唐詩鑑賞」(福島大学助教授大久保隆郎氏)などを開講する予定であり、教職教養としては、「教育制度の諸問題」(高校教育課主幹菅野定次氏)などを考えています。

 なお講義だけでなく、協議・演習など他の方法での研修も準備しておりますが、先生方の教室での実践活動に役立つような内容に仕上げるべく、これからも努力していきたいと思います。

社 会 科

佐藤禎助
                          井関鉄雄

 水の中に石を投げ入れて、ドブン!と音が返ってくるのはあたりまえのことで、誰もふしぎには思わない。しかし、もし水柱だけがあがって音が返らなかったらと考えると、怪談めいてきてゾーッとしてくる。そうなると、水音の立つのはあたりまえのことでも、それをきけばなにかホッとするような気がする。

 われわれの社会において、あたりまえとしてふしぎに思わずに見すごしてしまうものごとも、別な面からみたり逆の立場から考えたりすることによって重要な意義に気づくことが以外に多いものである。たとえば、地理的な分布を見る場合に、「どこに、○○がある」ということはよくみてまとめても、「△△は見られなかった」という面からみることは忘れられやすい、。つまり、「ふくしまにバナナの木がみられないのはばぜか?」という視点から考えると、「栽培をしないから見られないのか栽培しても育たないのか、」というように思考がたいへん深く発展するようになる。このように社会科を考える視点のひとつに、ものごとを多面から考えることの重要性をあげることができると思う。

 つぎに、知識爆発の時代、情報はんらん時代などといわれる今日の社会の内容的なものにたちむかうのが、社会科に課せられた使命であるからには、これを質的・量的に精選する必要性にせまられる。どのように精選したらよいのかという点で、社会科を担当する者は共通に迷い、悩みは大きい。

 また、ナゾナゾ遊びをしている時の子どもは眼を生き生きと輝かせて、考えることを楽しんでいるのに、授業になるとケチョンとして興味を失っている子どもが多いのはなぜだろうか、子どもに、問題を考え解決することに興味をもたせ、生き生きと活躍させることのできる学習指導法はどうあったらいいのだろう。

 社会科を担当する者として、ふだん考えていることの二、三をあげてみたが、このようなことどもが、教育センターの研修の中から解決の糸口が見つけ出せるようならばということが、担当者としての願いのひとつである。

 社会科の担当所員は、今春、会津若松市立大戸中学校教頭kらセンター入りした井関鉄雄、県教育研究所から機構が変ってセンター入りした佐藤偵助の2名である。いろいろな分野をもつ社会科を2名で担当するので、はたしてすべての領域におよぶ研修を運営できるかを不安に思いながらも、精いっぱい頑張っている。


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