福島県教育センター所報 第2号(S46/1971.8) -016/023page

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算 数・数 学 科

鈴 木 広 司

 算数を Arithmetic と訳した辞書もあれば Mathe-matics と訳した辞書もある。算数・数学教育の現代化が叫ばれている今日、Arithmetic とするにはあまりにも「算術」的なイメージを感じ Mathematics とするには少しのためらいを感じるものである。

 このためらいの中に、算数・数学教育の現代化を進めるものの苦悩があるのではないだろうか。

 現代化とは、新しい内容の追加と古い内容の改善だけで達成されるものでなく、内容、指導法、評価等すべての面に於いて改善されなくてはならないものであるが、「どの教科でも知的な性格をそのままにしておいてどんな発達段階の、どんな子どもにも効果的に学習させることができるということと矛盾するデーターはない。」と言い切っているブルーナ教授の仮説は、算数、数学教育の現代化に努めている人に勇気を与えており、これを裏付けるようにベルギーのパピ、スイスのピアジェ等のすばらしい研究成果がある。

 これら現代化についての基礎的な理念と共に、県内では、小教研を初めとする各自主的研究団体、あるいは、旧教育研究所での具体的、実証的な多くの研究を生かしながら現代化を着実におしすすめて行く努力も必要なことである。

 算数数学教育の現代化は局所的には、算数数学の現代数学へのアプローチという一面もある。

 カントールの集合論に端を発し、フランスのブルーバーキ学派等の努力により数学が現代数学へと飛躍的な発展を遂げたのである。

 これら現代数学の発展から、算数数学教育も集合を基本概念としその上に主として代数的な構造を入れ公理的な方法を使って数学をかなる厳密に限界して行く方向に向っていくのではないかという見方もできる。

 このような時期にもう一度現代数学の基本的考え方をはっきり学びとることも重要な意義を持っている。

 現代数学の基本的考え方をふまえ、それに指導法、評価等教育的配慮が加味されたときはじめて算数も何のためらいもなく Mathematics と訳せるのではないかと思う。数学に対する垂直的な研修を深めることによって、それを学年に応じてどのように展開し指導しなくてはならないかという問題も先生方の人間味も加わって個性ある、現代化の道を歩むものとの意図から本年度の研修プログラムを編成した次第である。


保 健 体 育 科

岡 田 貞 夫

 急速な時代の進展と食生活の改善によって、児童・生徒の体格は著しく伸長したが、体力の伸びはこれに伴っていない。また、一般的に情緒の不安定、心身のアンバランスなどの傾向などが目だつようになった。新学習指導要領ではそれらに対する配慮から総則に「体育」の項を設け、体育に関する指導を充実し、生徒の体力の向上を図ることの必要、すなわち体育の重要性を強調している。

 本県教育センターにもその体育の重要性を考慮し全国にさきがけて体育・保健体育の講座が作られた。

 従来の体育科のあり方をみると、主として技能の伝達と身体の鍛錬とで「号令によって反応させる。」というやり方であった。すなわち子供は常に受動的な形におかれた。しかし現在はどうだろう。情報化時代といわれ科学的研究のもとに学習指導法の研究が進み、教育機器の導入、運動用具の開発などがあげられ、子供が考える体育、主体的な学習へと移ってきたのである。現場における体育教師は常にそれらに目をむけ体育科の目標である身体活動を通しての(1)健康の増進、(2)体力の向上、(3)健康、安全に対する生活態度の育成につとめる必要がある。

 現場の教師の多くは各競技の authority で、この種目はだれにもひけをとらないという方々が多い。しかし、教材研究のあり方はどうあるべきか、体育心理は、学習の構造化はどうあるべきか。教育研究法は、体育測定の意義、領域、方法、評価となると即答に困る方があると思われる。私もその1人である。そこで先生方にそれらの理論学習を身につけ、学校でも中心的人物に、というねらいで研修講座がもうでられたのである。

 研修講座は小学校の講座が8月に、中学校の講座が10月に、高校の講座は11月にそれぞれ3日〜4日の日程で開かれる。内容は先にのべたものなどで理論や研究協議が中心である。また地域研修講座では年間4回の断続研修で計24日の講座日数で小学校、中学校からそれぞれ1名づつ参加し研究を継続しまとめるようになっている。

 体育部のスタッフは、本年度は1名でスタートしたが、第1研修部長をはじめ、国語、社会、数学科のメンバーと同室なのでなごやかな雰囲気のなかに日常の研究活動を推進している。また幸いに本庁各課の課長さんはじめ指導主事の方々の暖かい励ましでスタートできたことはたいへん力強く思っている。体育部は設備はまだ不じゅうぶんだが、測定機具や実験器具などの購入をし内容の充実をはかりたいと思っている。新しく生まれたばかりの研修部でそれも1人なので暗中模索の状態ではあ


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