福島県教育センター所報 第2号(S46/1971.8) -017/023page
るが新しい道を歩むための努力を始めているので先生方の暖かいご援助とご指導によってお互いに研究活動を進めていきたいと思っている。皆様のご協力を特にお願いする次第である。
教育工学研修室
嶋 田 二 郎
最近の技術革新による科学技術の急速な進歩はめざましいものがあります。情報化社会といわれる1970年代に入り、教育界にもようやく機械化の波が押し寄せようとしてきました。
当教育センターとしても、このような気運を感知し、全国の教育研究所や教育センターに先駆けて、教育工学の研修・研究の場として「教育工学研修室」さらにそれに付属する「教育工学準備室」と「テレビ・スタジオ」を設置し、そこに「教育システム」を設備しました。
この教育システムは、当教育センター用として、特に制作されたもので、大別しますと次のようなものから構成されています。
1 集団用学習システム
2教材編集装置
3AVRC装置(視聴覚機器遠隔制御装置)
4スタジオ設備
5授業記録装置集団用学習システムは、手動ー半自動ー全自動で授業が行えるもので、手動の場合は、システムを構成する個々の機器によって、単体としての教育機器の操作および教育機器を利用した学習指導法について研修ができます。半自動の場合は、教材提示は手動で行ないますが、反応分析ーフィードバックが自動的に行なわれます。さらに、全自動の場合は、システム制御器によって、教材提示ー反応分析ーフィードバックの授業・学習過程を、まったく教師なしで自動的に行なうことができます。
教材編集装置は、学習システムの教材提示装置を兼ねており、この教材編集装置やスタジオ設備により教材製作の実習をしたり、実際に製作した教材を現場に提供したりすることができます。また、授業記録装置により音声と映像で授業記録をとり、授業研究をすることもできます。
(今回は当教育センターの教育システムの概要の紹介にとどまりましたが、構成・機能などについては回を追って詳しく説明する予定です。)
内 外 情 報
アンテナは花盛りとうたわれたことがある。でもコンピュータは芽生えたばかり。テレビの番組は話題をよんでも、コンピュータとなると肌合わせが難しい。それでも、中二向け雑誌の付録をみると「流れ図」をもってその事柄を説明している。静かではあるがこのさざなみの音は、あげ潮の前ぶれと聞くのは我田引水であろうか。▲ときは新緑に映える五月。第1視察員は命をおびて、まず全国最初の情報処理教育センターをもつ香川県に出向いた。。眼下に広がる瀬戸内海の島々。頂まで続いている段々畑。雨の少ない四国特有ともいえる山肌の溜池等を珍しく見下ろしながら空港につく。まだ。ストーブを使用している福島とはちがい、そこは夏の装いが流れ、澄んだ空、そして「高松」の名にふさわしくみどりの松がいきいきとしていた。翌朝、緑にはえる玉藻城を見学しながら目的のセンターを訪れた。
センターは香川県庁の一角にあった。明るくこぎれいな電子計算機室の中にはFACOM230-25(32KB)を本体に、今後の研修に欠かすことのできない主要な周辺機器が配置されてはいたがXYプロッターをみなかったことは、香川県のために惜しまれてならない。近藤所長を中心に、設立までの苦心談、設置後の運営についての計画案、そして課題なるものを伺う。懇切丁寧な説明は、今日苦悩しているわれわれとして充分に活用し得るものであった。▲折りしも、志度津商業の女生徒が実習中であった。不協和音の激しい電子計算機室で、ワイヤーレスマイクを使って説明することは、参考になった。授業態度が真剣であったことは、いたずらに物珍しさによるものではなく聞くもの、語る者のおのずからなる雰囲気であった。▲このことは、当センターでの理科移動講座にあっても、気軽に参加でき、そして内容が具体的で取り組みやすい、という下馬評を含めて視察されるものであっただけに、望外の喜びであった。これからのわれわれの取り組む姿勢を思いめぐらしながら心を新たに、大阪、京都、愛知等の日程をたどったのである。
第2視察員は、第1視察員の報告を告け、視察の観点を整えて、まず群馬県教育センターを皮切りに出発した。所在地の前橋市は、県庁をおく駅としてはいささか意外の感もあったが、タクシーからみたところでは教育行政の育んだ施設が緑の中に見た。羨ましく思えた。▲タクシーの運ちゃんは国定忠治内伝、外伝に詳しい。けれど福島県の桑折という町の店で、昭和22年頃、日光の円蔵が所持した煙草入れを見たと話したら、その経過については知らぬと答えた。▲10分位で車を下り、美しい前庭に気をよくしながら、昨年3ケ月の研修で同じ釜の飯を食べた友人に逢いすぐさま設置の経過、必要とした資料、現在の状況を伺ったが、部外秘の多いのには困った。▲電子計算機室は、FACOM230-25を中心としたシステムだが予算上の苦心がうかがえ、そして担当者の努力がしのばれ、いかに開発することの至難なものであるかを体験する。かえりみて、本県の設備投資は、今後の情報処理教育推進上のモデルとしてみるとき、不じ