福島県教育センター所報 第2号(S46/1971.8) -018/023page

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ゅうぶんなものでないことを知った。このことは、推進の足がかりとして同時発足した京都、滋賀、そして本県に課せられた文部省の意向に対し同様に本県は不充分なものではないいう気持ちが含まれていた。▲翌日は都立商業共同実習所を訪問し、昨年研修時の恩師に礼を述べ、IBMシステムのなかで実習している二校の生徒の間をくぐりぬけながら、 つかんだ 特色についてご意見をいただき、世界貿易センターに向う。

 その懐かしい研修所はビルの7階にある。羽田空港のモノレールもこのビルから出ている。この研修センターは通産省が12億を投資し、当初は情報処理大学院と称するつもりであったらしい。システム工学の山内教授、テレビでおなじみの東大森口教授といった各界特級クラスの もったいない 教授陣をかかえている。▲ここは、思考に対する示唆を与えない。「よいと思ったら実行してみよ」というだけ。即ち同時に、コンピュータで処理するとはどういうことなのか、「コンピュータを教える」ところではないだけに設備は必要最小限ではあったがおしえるための用具、資料はじゅうぶんに整えられていた。▲第2視察員は、そこでテキスト作成上の機器および必要なオペレッターの作業日誌等をいただく。その後NC関係、ドラフター関係はカタログ集めに止め、望郷の念を車中に託した。▲夢の中でわが身の内外にうごめく情報源を傍観している自身をみる。ふと窓外を見るとき、列車はスピードをあげているときであった。

(第3研修部、小原・金沢・鈴木)



図書コーナー

学校経営の構造と機能

                               (¥ 880)

編集者 全国教育研究所連盟
                     発行者 全国教育研究所協会
                     発行所 東 洋 出 版 社

 「.....昭和42年、全教連は全国規模で実施する研究協議会の一つとして”学校・学級経営”を主題とする部会を設定し、3か年の継続研究を行った。この研究をすすめるにあたって、調査資料にもとづき全国的視野にたった科学的方法の必要が強調されたことはもちろんであるが、なによりも重視されたのは、学校経営の基礎概念を明らかにすることである。このような新たな観点から、学校経営におけるそれぞれの機能がどのように有機的にはたっらき、構造化されるかを解明しようとしたのが本書の意図である。」これは本書のはしがきの一節であるが、現在、全国的にさかんな学校経営の研究成果がこのようにまとめあげられたのは、本書だけでなかろうか。その意味からも貴重な書として一読をおすすめしたい。さらに、学校経営に関する参考書は理論的な解明が多く、しかも現場の問題点を解決するためには、やや具体性にかけることも指摘されるなかにあって、学校現場の具体的な問題をとりあげ、全国的な規模で調査をすすめ、学校経営改善の方向を示唆していることも、他にみられない本書の特色である。

 つぎに本書の概要であるが、まず、学校経営上の具体的問題として10項目(下記)をあげ、そのひとつひとつにつじて実態調査の結果と問題点を示し、さらに改善策を運営の要点としてまとめている。しかも各研究問題が学校経営の機能とどうかかわりあいをもつか、また、教育の現代化に即応させるだけでなく、学校運営組織の構造化を解明しようとしている。さいごに、経営のねらいを「ひとりひとりの子どもをのばすことである。」とし、経営研究でとかくわすれやすい点を強調していることも、心に残るひとつである。

○ 具体的な研究問題
  ・ 学校経営の理念
  ・ 教育目標とそれを実現するための計画
  ・ カリキュラム改善と学校経営
  ・ 児童・生徒指導と学校・学級経営
  ・ 教授組織の改善と学年、学級経営
  ・ 教師の専門性の育成
  ・ 教育機器の利用
  ・ 学級担任の仕事と学級経営
  ・ 施設・設備、教材・教具の活用
  ・ 学校組織の構成と運営上の問題
                (第1研修部 佐藤好秋)


人間形成に寄与するための音楽教育に関する図書

 われわれが教科をよぶときに、よく「基礎教科」とか「技能教科」とか、はては「主要教科」などということばが用いられる。このようなことばの使い方のよってきたる原因には、実生活とかんけいがある、あるいは高校・大学入試と関係がある、ときに知育のための教科という意味あいが含まれているものと、技術に重点をおいたという意味あいの区別からこのような呼び合いになったのだろう。主知主義をとってきたわが国の伝統的な教育思想からはこのような呼び方が生まれたのは当然かもしれないが、芸術科ないし音楽科が「技能教科」と呼ばれるのは技術(技巧)中心主義の音楽授業がもたらした当然の帰納であると考えられる。

 技術を伴う教科はあながち音楽科だけでない。理科における実験・実習、社会科における地理の読図・作図等は明らかに技術を必要とし、技術を伴わなければ、その教科の目標を達成することができない。それなのに音楽科に対して「技能教科」という冠を付せられるのは、


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