福島県教育センター所報 第3号(S46/1971.10) -003/025page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

形成や文化形成にも関連をもつ。

(4) 民主的な社会の発展に貢献し,文化を継承し創造することができる力は,思想を組立てる基礎とその文字の習得によるものである。
この目的を達するために,国語の授業に於ては系統的計画的に漢字の指導がおこなわれているものと思う。


4.効果的な指導法

 漢字指導をするうえで,指導者としてふまえておかなければならないことを次にあげてみる。

(1) 漢字を理解したということは, 1.読める。 2.書ける。 3.意味がわかる。 4.自由に使える。という状態をさしていうことの認識。

(2) 児童・生徒の漢宇に対する構えを確実には握しておく。即ち科学的方法によって収集された資料の分析によって実態をは握することである。

(3) 漢字の難易度を常識的にきめつけてはならない。画数が多いから難度が高いとは断定できない。

(4) 正確な漢字(書写の場合)を要求することは当然だが,許容事項に?いての確かな知識をもつことが肝要。

 この姿勢が教材研究に大きな方向づけを与えることにもなると思われる。さて実際の指導法にはいるわけだが次にあげる方法はそのすべてではないことをことわっておきたい。

(1) 漢字を語い指導と一体的に取り扱う。
 漢字の孤立的指導が割合多いが,定着度が低いし,しかも転移カもつかないように思う。「光熱」の読みを指導したならば,それが「光熱費」とか「光熱料」として文の中でつかえなければ意味がない。「良妻賢母」が読めても,「料裁健母」と書くような例が多く見られることは指導上の欠陥ではないだろうか。同義語,同類語,反対語などをあわせて指導することが必要になってくる。

(2) 読みの原則を理解させる。
「教える」「直す」「流れ」「招く」これらはいずれも訓読である。一宇の漢字は訓読が原則である。「板書」「動物」「集会所」「混同」これらは音読である。二字以上からなる漢語は,一部の例外(指先,坂道など)はあるが音読が原則である。

(3) 字源,構成を理解させる。
漢字の中では形成文字がもっとも多い。ただ字源に定説のないもの,異論のあるものも少なくないので,教師がこじつけないように注意することがたいせつである。構成では, 1.上の字が下の字を修飾する。(浴場・初冬など) 2.同じ意味の漢宇を二つ合わせる。(光熱,尊敬など) 3.意味の反対な漢字を二つ合わせる。(集配,勝負など) 4.下の字から上の字に返った意味のことばとなる。(読書,帰校など)などのことをとりあげるならば理解が早いと思う。

(4) 推読指導
漢字学習に限らず国語学習においては重要なことであ乱文脈の中での漢字の役割の理解,語意を理解しての読みにもたるので,定着度は高い。また主体的漢字学習という面からもとりあげていきたい。


5.おわりに

 授業の中での指導法をじゅう分工夫することは勿論であるが,同時に環境づくりにも意を用いなくてはならない。教師自身が誤字を書いたり,筆順が不正であったり提示物や展示物の中に誤字脱字があっても平気でみすごすような環境のところでは,漢字力は育つだろうか。





小・中学校社会科における年表と歴史地図指導の意義

第1研修部   井関 鉄雄

1.指導上の問題点

 本年5月に実施された福島県診断学カテスト(小学校6年の問題を,中学1年生が行なった。)の結果をみると,歴史的分野では,年表と歴史地図に関する問題の正答率が著しく低い。すなわち,年表については,「武士のおこり」から「鎌倉幕府の成立」に至るまでのおもな政治上のできごとについての年代的な理解をみる問題であり,歴史地図については,「ヨーロッパ人の来航地」と織田・豊臣氏の根拠地としての「安土・桃山城の所在地」をたずねる問題であるが,各小問の正答率は37〜13%と他領域に比して非常に低く,年表と歴史地図に関する学力がじゅうぶんでないことがわかった。このことについては,いろいろの原因があろう。たとえば,

○歴史学習が,多くの知識を教師独演の講義で詰めこんだり,教科書の内容を追いかけるような安易な指導におちいりがちであること。

○年表・歴史地図の読みとりと作成に関する基礎的な知識の習得と技能の訓練について,意図的計画的に指導する配慮に欠けていること。

○年表を,単に,歴史的事実・事象の年代を知るだけにとどまり,また,歴史地図も歴史的事実・事象の生起した場所を知るだけに使用されて,発展的意図的な活


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。