福島県教育センター所報 第3号(S46/1971.10) -007/025page

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 のある管,他は短かくてよい。)
・発泡スチロ一ルカップ (U字管がはいる大きさのもの)
・T字管およびこれにつけるゴムせん。
・温度計 (1/1 Cおよび1/10 C目盛りのもの各1)
・上皿てんびん (感量100mgのもの) と熱源
・試料 (水,メチルアルコール,エチルアルコール)

[ 方法 ]
(1) 発泡スチロールカップに水をいれ質量を測る。( m 1 )
(2) U字管の口の一方をコルク栓でふさぎ,他方の口にはガラス曲管をとおしたコルク栓をとりつける,U字管中に入るガラス管の先は,発泡スチロールカップの水面から少し下になるようとりつける。幹やガラス曲管をとりつけたU字管の質量を測定する( m 2 )
(3) 発泡スチロールカップにU字管をいれ,水温1/10 Cまで測る。( t 1 °)
(4) フラスコに試料を適当量いれ,沸とう石を3〜4個加える。バーナーもしくはアルコールランプで加熱沸とうさせる。蒸気が盛んにでて,温度計の示度が一定( t 1 )になったら,T字管にゴム栓をし,U字管と接続する導管にたまっている液体を指ではじいてとりさり,すばやくU字管に接続する。
(5) 温度計で発泡スチロールカップの水をかきまぜ,水の温度が5〜6 C上昇したなら導管をU字管からはずす。加熱をやめる。
(6) 発泡スチロールの水をよくかきまぜ,水の最高温度を読む。( t 3 °)

図1 実験装置
図1 実験装置

(7) U字管を水からひきあげ,外側の水をよくふきとり質量を測る( m 3 )。U字管中の凝縮した液体の質量を求める( m 3 −m 2 )。
(8) 試料の気化熱を求める。

気化熱式

[ 留意点・その他 ]
・実験にあたっては火傷などを防ぐ意味からも軍手を使用したほうが安全である。
・温度計の読み,上皿てんびんによる測定は正しくする。
・測定値の取り扱いに留意する。計算における有効数字誤差の限界についての取り扱い。
・上皿てんびんは100gまでしか測れないので,発泡ス・チロールカップにいれる水の量に限界がある。一試験管を使うと水とふれる部分が少なく,有効に気化熱を水にに得ることができず測定結果がよくないので,U字管を使用した。
・アルコールの場合は温浴で加熱し,引火に注意する。
・熱量計として使用したコップの熱容量は無視している。
・凝縮管までの導管は,アルコール枚ども使用するのでビニール管を用いた。

[ 実験結果の例 ]
 水道水を使用して12回 ,メチルアルコール・エチルアルコールについてそれぞれ10回測定した。その結果の一部を表1〜3に示した。

表1 水の気化熱測定例(室温23 C 沸点100 C)
1 (g) 2 (g) 3 (g) 1 C) 3 C) 気化熱(cal/g)
100.0

100.0

100.0

100.0

100.0

21.2

21.1

21.2

21.1

21.1

22.9

22.3

22.5

22.6

22.5

21.5

20.5

20.8

21.0

20.9

31.6

27.8

28.7

30.0

29.4

530

540

540

530

540



表2 メチルアルコール気化熱測定例(沸点65 C)
1 (g) 2 (g) 3 (g) 1 C) 3 C) 気化熱(cal/g)

100.0

100.0

100.0

21.1

21.1

21.1

23.6

23.7

23.7

21.0

21.0

20.9

29.3

29.6

29.6

260

250

260



表3 エチルアルコール気化熱測定例(沸点78 C)
1 (g) 2 (g) 3 (g) 1 C) 3 C) 気化熱(cal/g)

100.0

100.0

100.0

21.1

21.1

21.1

24.5

24.4

25.0

20.7

21.1

20.4

30.3

30.4

30.8

210

210

200



文献によれば,水は100 Cで539.8cal/gメチルアルコーノルは64.7 Cで216.8cal/g, エチルアルコールは78 Cで216・4cal/gである。この測定の結果は有効数字2桁しかとれないが,文献値とほぼ一致する結果が得られた。コップにふたをしなくとも一測定結果には影響がない。ただし,U字管の前にT字管のような導管の途中で冷却凝縮した液体をためる装置をつけないと,導管を傾斜させ


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