福島県教育センター所報 第3号(S46/1971.10) -008/025page

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てU字管に凝縮した液体がはいらないよう気をつけても、液体がはいりこみ,U字管中の液体の質量が大きくなり,気化熱は小さめに計算される。

2.指導について

 気化熱の測定は融解熱の測定とともに,すでに学習した沸点,融点の発展として物質の状態変化を粒子の集まり方の違いや・温度上昇による粒子の運動モデルにより考察させることにより,気化熱や融解熱が粒子間の距離(緒合)をゆるめるのに使われることを推論させ,また固体よりは液体,液体よりは気体のほうが多くの熱量を吸収しており,エネルギーの高い状態であることをとらえさせることをねらいとしている。
 沸点,融点測定によって得られたグラフの平坦部の考察や,氷の融解熱と水の気化熱の比較を通し,また気体は簡単に体積や形の変化ができるのに固体ではできないなどの情報から,粒子の結合をひきはなすため気化熱,融解熱が必要であると推論できるようにする。更にこの推論をもとにして,融解や気化を運動モデル実験によって検証させ,推論したことが現象をうまく説明できることを知らせる。たとえば,木箱の中に鋼鉄製小球をいれ箱を動かすと小球は自由に動きまわる。この状態を液体とすれば,さらに激しく箱を動かすと,球の動きもそれに伴って激しくなり,球は箱の外に飛び出すようになる。これは気体の状態を示している。このように液体では粒子が互いに自由に動き回っているが,温度をあげると(箱をはげしく動かすと)しだいに速さが増加し,沸点に達すると粒子が外にとびだし自由に飛び回るようになる。気化熱は粒子の動く速さを増加し,粒子間の結合をさらにゆるめるために使われる熱であることを知らせ得るであろう。モデルによって思考を進めていくという過程をとるのでじゅうぶん時間をとって一歩一歩学習を積み重ねていくことが必要である。



小学校教材

じゃがいもの育ち方の実験

第2研修部   本田 孝

はじめに

 教科書では一般に"いもの育ち方"という単元名で,じゃがいもやさつまいもを素材として扱っているが,この単元では,発芽・成長と種いもの様子を正確にとらえそれを変化するものと変化させるものとの関係で追求したり,新しい根や葉の伸びる位置や種いもと新しいいもの関係,根の広がり方や新しいいものつき方など,分析的に事象をとらえて原因,結果の関係を明確にとらえる能力を育てることが大切である。
 したがってこの単元では,単なる栽培の仕方の学習ではなく,児童が自分のカで問題を発見し解決の方法を考え,追求し実証していくことができるように指導計画をたてなければならない。そして,そのとき素材としてのじゃがいもをじゅうぶん理解したうえで,じゃがいもの教材化をはかることである。ここでは紙面の都合で,指導計画とか追求の過程等まで直接ふれることはできないが,"いもの育ち方"の中で行なうおもな実験観察を,素材研究という面もふくめて検討してみることにする。


1.素材の特質

○じゃがいもは4〜5 Cくらいで発芽し,20 Cくらいで最もよく成長し,25 Cくらいで地上部は枯れてくる・・・・・年間計画の位置づけに留意する。
○じゃがいもは夏涼しく,土壌は有機質分が多く排水のよい砂質でよく成長する。・・・・・土質条件に留意。
○じゃがいもは茎の変形であるから,芽はいもの先の方に多い。・・・・・いものつき方の観察に留意する。
○じゃがいもは頂芽がよく発芽し,側芽は発芽が遅れたり,発芽しても成長が悪かったりする。これは伸びはじめた芽の成長ホルモンのためで,種いもを切るのは,どの芽もよく伸ばそうということからである。・・・・・観察芽をえらぶときの留意点。
○じゃがいもの成育期間は100日ぐらいで,肥料が不足すると,よく育たないうちに茎が枯れはじめる。
○じゃがいもはいもの中の養分を使って発芽し,ある程度成長するまで養分は使われる。
○病害としては種いもから伝染するものが多いため,種いもの選定。消毒に気をるけるようにする。虫害としては,地上部,地下部を加害するものがあり,防除しなければならない。・・・・・種いも選び管理に留意。


2. [ 実験1 ] 種いもの大きさと成長

  ヒヤシンスの水栽培で,球根の大きい方が茎や葉が大きく,花も長い間咲いていたという事実から球根の中の養分の存在を意識しており,じゃがいもも種いもの大きいほど茎や葉はよく伸び,新しいいもも多くできるのではないかという予想はたてられる。これをどのようにして実験するかとなると,いろいろの条件規制が必要であ


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