福島県教育センター所報 第3号(S46/1971.10) -009/025page
る。つまり,比較するという点から
○変える条件――種いもの大きさ(重さ)
○同じにする条件――土質・目光・温度・芽の数,などが考えられるが,これらの条件は児童に気づかせるようにしなければならない。
実験の結果ではつぎのようになる。
条件・方法
○種いも――北海道産140g,120g,100g,80gのものをそれぞれ3個ずつ選び,重さの順にA区, B区, C区, D区とする。
○土質――肥料分の少枚い細かい砂質
○芽の数――種いもの頂芽の部分を3個だけつけ,ほかの芽はけずり取る。発芽後種いも1個に芽1個にし,芽かきをする。
○日光・温度――南向きで日当たりのよい同一場所
○肥料は特に与えない,害虫は防除する。
※新しいいもの重さは各区3株の平均値
結果 実験区 A B C D 種いも(g) 140 120 100 80 新いも(g) 260 254 240 200
考察
○実験の結果からは,重さを比較すれば種いもの大きいほど,新しいいもがたくさんでき,茎の長さ,葉の大きさの観察結果と関連させて考えれば,種いもに含まれる養分の存在と,その量について推論することができる。ただ実験結果として児童が一見して差を認められるのはA区とD区の比較である。児童に実験させる場合には4区もつくる必要はないので,種いもの重さの比率を1:2程度にして2区の比較をすればじゅうぶんである。A区とB区とかC区とD区あたりの差では推論もむずかしくなるのでさけた方がよいだろう。
留意点; 実験と考察の段階で留意したいのは,観察が長期にわたるので,特に実験の目的をしっかりと意識させるということと,実験条件を規制することの意味と条件の内容を理解させ,茎・葉の成長の過程を常に条件との関係から見ていき,観察の経過の途中でも可能な範囲での考察を試みさせることがたいせつであると考える。
問題点; 肥料は実験の目的からして意図的には与えていないが,土には若干の肥料は含まれていると考えられる。しかし土質の条件は同じであるから比較するにはさほど問題はない。ただ児童の疑問として残るのは,肥料をやらないのに種いもの2倍もの新しいいもができるということだが,これについては6学年の"植物のつくりとはたらき"の学習への問題として残しておいてよいだろう。
図1〜3は,A区とD区の結果の比較である
3.[ 実験2 ] 日光・温度と成長
条件・方法
○日光・温度――直接日光のあたるものA区,主と方法して間接光のあたるものB区・温度は与えるが間接光のみのものC区とする。――図4,5,6
○種いも――北海道産100gのもの各区3個
○土質――細かい砂質の土壌に腐葉土をまぜて均質にする。
○芽の数――いずれも頂芽を3本残す。
日おいは発芽後茎が10cmのときする。
※径は根元の直径をおよそ平均したもの。
結果 区 A B C 茎 径 2cm 丈 30cm
緑こい
径2〜1cm 丈50〜60cm
緑ややうすい
径 1cm 丈 50〜70cm
緑は黄変
いも(g) 320 粒が大きい
300 数は多いが 粒は小さい
95数少なく 粒も小さい
温度 断続して測定(気温・地面)
考察
○3区を比較すると,成長には日光と温度が必要であることがわかる,特に茎や葉の緑がこく,がっちりしていると,新しいいもも多くできるということは,6学年の"植物のつくりとはたらき"で光合成について考えるときの重要な思考の要素になる。
留意点; 実験の過程において,B,C区の草丈が伸びて日おいからはみ出さないように,その都度実験条