福島県教育センター所報 第3号(S46/1971.10) -011/025page

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(3) 繊維材料とアイロンの温度。
 各種繊維材料に適温,不適温(やや高温)でアイロンかけをした場合の結果を観察する。試験布は14cm×28cmを用意し,図のようにしるしをつけて,片方にアイロンをかける。
アイロンをかける図

 結果については次の諸点をしらべる。

a 着色,肉眼で着色の程度を調べ, 1)着色せず,2)やや着色, 3)着色, 4)著しく着色 の4段階にわける。

b 収縮,アイロンかけ後,たて,よこの寸法をはかり,それぞれアイロンかけ前の寸法と比較して,収縮率を求める。
収縮率式

c かたさ,加熱によって繊維が軟化した場合,それが冷えるとかたくなる場合が多い。試料が冷えてから,加熱部と未処理の部分のかたさを比較する。

d その他,合成繊維の場合,アイロンのすべりぐあいに変化があったか。布に引きっれができなかったか。
測定中の写真
(測定中の写真,感熱部を固定する台を作ると便利。)


5.実験結果の例

(1) 底面温度の分布
 アイロンの種類はAメーカー500W,フッソ加工,室温20 C、高の表示で消灯直後に測定する。各位置とも3回はかって平均値を求めた。先端が一番高く,中央部がそのつぎで,後部が低くなっている。これは内部のヒーターの位置とも関係すると思う。
アイロン比較図

同じメーカーの600Wのものとくらべてみると,上のようである。

(2) 各表示に応ずる底面温度の測定
アイロンの種類はAメーカー500W,フッソ加工,室混20
         標示

 

 化せん 綿
最高温度 80° 125° 154° 177° 188° 206° 207°
最低温度 65° 140° 140° 159° 170° 190° 196°
温度差 15° 15° 14° 18° 18° 16° 11°

 最高温度はパイロットランプが消えると,しばらく温度が上昇して最高温になったとき針が止る。その時に読む。最低温度の場合はランプがつくとすぐに針が動くので読みにくい。したがって受感部と底面を密着させておいて,ランプのついた瞬間に読みとるようにするとよい。またスイッチを入れてパイロットランプが2〜3回点滅してから測定に入ったほうがよい。測定の方法によっては差がみられるので,できるだけ諸条件を同じくすること。
他のアイロンとの比較図

(3) 繊維材料とアイロンの温度
 繊維材料は100%せんいのもので,未加工のものを使用する。材料の種類は小・中・高の各段階で被服の領域でとりあげる材料がよいと思う。アイロンをかける条件も一定にする。たとえば適正表示より一段高い標示にするとか,パイロットランプが消えたらすぐに,30秒,あるいは1分間かるく動かしながらかけるとか。アイロンをかけた結果の判定は,肉眼や手ざわりなどで判定してもよいが,布のかたさ,やわらかさなどは,カンチレバーやハ一トループなどの試験機器を用いて剛軟度を測定してみるのも一つの方法であると思う。布の剛軟度の測定実験については次回にゆずる。


6.アイロン温度計と試料について

 アイロン表面温度計は2種の金属線を組み合わせた熱伝対を利用し,先端の接合してある部分に温度が加えられると電流が流れ,その電圧を測定して温度に換算するようになっている。温度計の本体はいずれも大体同じであるが,先端の感熱部分はメーカーにより異なるので,


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