福島県教育センター所報 第3号(S46/1971.10) -017/025page
技 術 科
山内 正弘 ・ 遠藤 徳
技術・家庭科は,昭和33年に科学技術教育の向上を図るという基本方針に基づいて中学校の教育課程に新設された教科であるが,このたび中学校の教育課程の改訂に当たり,技術・家庭科については,10年間の教育実践の反省に基づいて,教科の性格を正しくはあくされるように目標が明確になり,基本的な事項も精選され,さらに指導の重点も明らかになるとともに,地域や学校の実態および生徒の必要に床じて,弾力的に指導ができるように改訂されました。しかし,この実施にあたっては施設・設備の充実はもとより,私たちの指導力の向上をはかることがより大切であります。そのためには,実験,実習を中心とした実技研修を計画的・継続的に行なう必要涜あると思います。幸い,本県においては,教育センターが設置され,技術家庭科指導研修講座第1回を8月30日から9月4日まで1週間実施いたしました。内容は木材の物理的性質と実験教具の設計,製図・製作・計測の基礎,炭素鋼の標準組織と熱処理,塑陛加工と切削加工・金属材料の各種試験,内燃機関とインジケータ線図の考察など実験実習を中心に研修いたしました。人員が30名なので15名ずつA班、B班に分けて実施いたしました。最終日には県内の実習題材を中心に教科の諸問題について研究協議を行なって無事終了いたしました。研究協議では期間が短いので全分野の研修が困難であり前後期にわけて実施してほしい,講座内容が多過ぎないか,講座内容をもっと受講生に早く知らせて欲しいなどあげられました。また,実習題材については各方部ともいろいろと検討されており,さらに教科の本質にそった各分野,各学年の題材例について研究協議され,教育実践の上にも役立つものと信じております。指導上の諸問題については辺地校ほど施設・設備の充実が必要である。また,2学年の領域内容が豊富すぎたいか,栽培関係の研修ももってもらいたいなどいろいろと要望がだされました。当センターの担当者としてもご意見を参考にして本科の研究に寄与できるよう努力いたしたいと思っています。第2回10月18日〜10月23日,第3回11月29日〜12月4日,第4回2月15日〜2月19日と同じ方法で実施する予定です。
なお,技術・家庭科の施設・設備は,講座期間以外には積極的に各個人の研究や研究会などご活用いただきたいと思います。
家 庭 科
菅野 栄子
今回は,はじめてなので,球庭科関係の施設・設備および本年の研修について紹介します。
家庭科関係の研修室は,第1棟2階東側の突き当りで,被服研修室,食物研修室,天秤室,準備室があり,小・中・高校の家庭科担当の先生方が12人単位で研修できるようになっています。被服材料実験や整理実験,縫製や洗たく,染色たどの実験実習,食品分析,栄養や調理の実験実習など,家庭科の専門内容を深く研修できるようにいろいろの試験機器や1台20万円もする実験台,調理台(デスポーサー付),裁縫机,ドラフトも設備され,中でも織物引張試験機(30万円),織物摩耗試験機(50万円),織物通気度試験機(40万円)は代表的なものです。
今後は,これらの施設・設備を有効に活用し,家庭科教育の振興に役立てなければたらないと思います。
本年度の研修予定は,小学校3回(延36人),中学校2回(延24人),高校被服1回(12人)となっており,研修の内容は,実験実習を多くとり入れ,自己研修では設備や時間の関係で,なかなかできないものをとり上げました。講師としては,福大高橋キヨ子教授ほか予定されています。
今回は,いろいろの事情もあり,ご希望された先生方全員に参加していただけませんでしたが,この計画以外にも,この研修室を家庭科教員のよりどころとして,活用していただければ幸いです。