福島県教育センター所報 第3号(S46/1971.10) -018/025page

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音 楽 科

佐藤 政夫

 本年度,当教育センターが実施する,音楽科の研修講座内容の概賂を紹介したいと思います。
 先ず音楽科研修講座の数ですが,小学校,中学校,高等学校おのおの1講座ずつとなっています。
 また研修の人員と期間は,小学校は35名,中学校は40名でいずれも4日間、高等学校は20名で3日間の講座を開設いたします。
 つぎに研修講座の内容ですが,いま音楽教育の直面している問題は,情報化社会の要請に対応する音楽教育はどうあるべきかであると思います。ラジオ,テレビやステレオがなかった時代ならばオルガンで,いわゆる唱歌科の文部省唱歌をうたわせることだけで生徒は結構よろこんでうたっていたものですが,これからますます情報化されていく時代に,旧態依然の音楽授業では現代化された音楽科ということができませんし,だいいち生徒がのってこないでしょう。それどころかだんだん音楽から離れていく現状です。
 それには情報化社会の意味と本質をじゅうぶんに理解し,それに対応する音楽教育のあり方を研究することにあると思います。だからといって音楽の本筋を変革し,現代のテレビ番組の音楽に迎合するということでなく,音楽の本質を追求し,芸術教育として,情操教育としての音楽科のあり方を追求しながら,情報化杜会に対応する教育の中の音楽教育のあり方即ち現代化をはかり,それにともなう技術をたかめる必要があると思いますので研修講座の内蓉をつぎの三つにいたしました。
 第1には,人間にとって音楽の本質的あり方と,激動する情報化社会に対応する音楽教育のあり方を研究し,そのための本質的音楽科の教材と指導計画のたて方を考察し・中でも特に日本音楽の取り扱い方はどうあるべきかを研究することにしました。
 第2には,情操教育としての音楽科のあり方であります。即ち情操教育を志向する音楽科の条件を明確にする必要があります。それには指導方法として,また教師の心構えとしてその条作を考察することにしました。
 第3には,何といっても教師の技術であります。前頂の目標を達成する最も本質的であり,具現的であるのは,発声とたて笛と,そして指揮法であります。(中・高にはギターもとり麦)げ麦した)この技術を前二項と細み合わせながら、実習するよう編成いたしました。



美 術・書 道

藤田 利雄

 さわやかた秋の1日東和町の教育委員の方々の訪問をうけました。安井委員長さんがたとの歓談のおり,「東京の某中学校でマッチのつけかたを知らない生徒が30%近くもおり,また,石をひもでつりさげることをさせたら,1時間かかっても結べなかっだ生徒が何人かおって,教師自身が非常に驚いた。」という話を聞かされました。極度に機械化された都市生活のある面が,「人間だけがなし得る,手で物をつくる能力」の開発にブレーキをかけているような点があるのではなかろうかと考えさせられました。当センターで「造形能力を生活に生かす態度を育てる」美術,書道の研修講座が,他教科と期を同じくしてもたれたことは,関係所員として非常にうれしく思っております。本年度の講座内容について,その概賂を紹介したいと思います。美術,書遣とも研修の領域は,いくつかありますが今年はとくに実技を中心とした研修を計画しました。小学校図画工作科では,福島女子短大山川忠義先生から「クロッキー」を福大大橋晴也先生による「粘土を主材とした飾るデザイン」を,福島西女子高米倉兌先生に「焼物」についてそれぞれご指導をいただきました。8月18日〜21日の盛夏に汗を流し,手にまめをつくりながら朝の5時から夜9時まで木彫にとりくんで,すばらしい壁飾りを製作された研修生の方々に敬意を表したいと思います。中学校美術科では福大武藤重典先生の「紙によるランプシエード」の製作と梁川高校菅野忠良先生から「半面像のモデリングと石膏どり」の実技のご指導を予定しております。高校美術では教育大高山正喜久先生の講演と福大白沢菊夫先生のご指導で「石彫」を計画しております。高校書道は8月下旬に福大須田哲夫先生同じく藤本正先生に実技および鑑賞について,また,福女綱代春朋先生から「印刻」についてご指導をいただきました。また,本庁の鈴木栄先生,鈴木琢麿先生よりそれぞれ理論的な面での懇切な講義をいただいております。

美術講座写真


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