福島県教育センター所報 第3号(S46/1971.10) -021/025page

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カナダも福島も変わりがないものである。▲こどもがトイレというので公衆便所をさがして行ってみると,驚いたことにブロックの壁がこわされ,窓ガラスは破られ,トイレの中へは大きな石が投げこまれていた。でも子供は「きたないね」といいながら用をたしてきた。帰り道,道ばたにビールびんや酒びんがなげすてられてあリ,中には,こわれているびんもあった。こどもはこわごわそのそばを通りぬけて母のいる方へかけていった。私はこの時この子らが,この状態を平気と感じるおとなへと成長することにせんりつを感じた。▲私自身もカナダ,アメリカ訪問前までは,きたなくよごれていても,適路が悪くなっていても,これが普通なのかと思っていた位であるが,その後,公共物,公共施設に対する考え方が変わってきたのは事実である。▲カナダ,アメリカでは目本の公園によくみかける「芝生の中にはいるな」という看板はどこをみてもない。スプリンター(散水機)により朝夕自動的に水をまいているのがみられる。青々とした芝生の上を白然の感触を味わうように素足でゆっくり歩いている姿がみられる。▲1台の車が止まり両親と1人の娘が犬をだいておりて散歩にでかけた。犬

はまっていたかのように芝生の中に腰をおろし,ウンチをした。私は仲間と一緒に芝生にねころんでいたのでその様子がよくわかった。するとその娘は何かをいいながらポケットからちり紙を出し,それをひろい車の中へ入れたのである。それがごく自然に行なわれたのである。私たちはただ顔を見合わせるだけであった。この少女のとった行為は私達の考えをかえさせる大きなものがあった。▲学校の付属建造物,図書館,体育館,学生ホーノレなどは一般の寄付によったものという。それも1人で大きな建物を寄付するそうである。また日本人は勤勉で各学校のトップクラスとの事には気をよくしたものであるが公衆道徳はどうであろう。▲日本は世界第2位の経済大国であり,先進国などといわれているが,道路や公園などの公共物や公共施設に対する考え方はまだ低く関心がうすい。機械化された今日,安心して心を休める憩の場がほしいものだ。機械化されたからこそ「人間尊重」の精神がますます必要になることだろう。▲私たちは教育の重要性について再認識しなければならない。せまいこの日本を美しくする心の持主をたくさんつくるために!




図書コーナー

教育機器活用による理科授業   (¥1,400)

編 者  小金井 正巳
発行所 明治図書出版

 理科教育は,子どもを直接自然にふれさせてはじめて成りたつもので,教育機器などを使うと真の理科教育はできない・・・・・といういわゆる“教育機器有害論,無用論”を考える人がかなりいる。そしてまた,現場の埋科教育が,教育機器という新しい名称のもとに登場した"マシン。を,従来のマン・マン・システムの中に導入することや,探究の過程の中に組み入れることについて,ある種の混乱を生じていることも事実である。本書は,理科教育の現代化の立場から,教育機器を学習に導入することの意義と可能性について説き,新しいマン・マシン・システムを生みだすために探究の過程と教育機擦との関連を授業の実践例をとおして検討している点で価値カミある。実践例の内容としては,スライドを活用した授業から,ティーチングマシンを利用した授業にまでおよんでおり,理科における教育機器利用上の多くの間題をなげかけ,今後の実践をとおしての研究の必要性を意識させる点でも意味がある。

(第2研修部 本田 孝)



なぜ磁石は北をさす

カ武常次著 講 談 社
ブルーブックスNo.151

 地球が磁石になっているわけを,わかりゃすく良く解き明かそうとしたのが本書のねらいである。
 磁石の生いたち,磁場の広がりから始まり,磁石は必ずしも北をささないことや,地球の磁場は一定でなく年々変化していることたどの解説,さらに,磁石の化石といわれる古地磁気学の研究の進展にともなって解き明かされてきた過去における地球磁場の逆転の話,想像もつかぬような極移動や大陸漂移説,折れ出った日本列島の話あるいは,海・山による異常磁場や縞状磁気異常の興味深い発見など,地球物理学のめざましい研究成果に広くふれている。
 なかでも,地震の原因とともに,ナゾにつつまれている地磁気の原因論の主流と目されるダイナモ理論の復活の大筋を説明した一章は難解ながらも興味深いところである。

(第2研修部 佐藤 亘)



探究としての学習

シュワブ著 佐藤 三郎訳
明  治  図  書

 この本は第1章探究としての科学教育J.J.シュワブ第2章小学校理科教育の諾対策P.F.ブランドウェイン


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