福島県教育センター所報 第4号(S46/1971.12) -012/025page

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さらに,明治百年を契機とした教育史編集の事業は,全国的な気運となり,愛媛県教育史(全四巻)完結をはじめ,長野(全15巻)千葉(5巻)愛知(5巻)等のほか24府県で編集に着手しており,編集もかなり進行している。また国立教育研究所は,41年に本県の史料調査を実施しているが「日本近代教育百年史」編集事業を47年度完成を目標に実施中である。こうした地方教育史の研究,編集事業が,地方資料を土台として実態を力強く描き出し,国の教育制度,政策がどのように浸透し定着したか,日本の教育史の全貌を知る上で,この70年代は実に興味深いものがある。

2 本県の教育史編集

昭和44年度より5か年計画で第1巻(先近代,近代前期編)第2巻(近代後期編)第3巻(現代編I)第4巻(現代編II)第5巻(補遺編)の全5巻,各巻約1200ぺ一ジである。この他に資料集として第1集〜第6集まで編集している。しかし,他府県に比し,研究,編集の基本資料としての県庁文書をはじめ,実態を示す貴重資料の散逸が激しく,こうした事業の前段階として,近世,近代資料を含めての収集,保存が急務となっている。第二次大戦後の焼失,破棄は特殊の状況下にあった当時を勘案すればやむを得なかったにしても,教育関係資料の大部分を保存していた県教育会館の焼失は,大きな痛手を与えている。

こうした急速に散逸しつつある貴重資料の調査収集のために,地方史に造詣の深い16名の高校教員を調査員として委嘱し,着々その成果をあげている。(総数は900点にのぼる)執筆の方は,第1巻14名,第2巻17名,第3巻22名の専門家に委嘱し,48年度完結を目途に努カしている。編集方針,内容等については割愛するが,県民の中には,巻数増,あるいは対象とする時代範囲,重点のおき方等に関しての要望もあるが,教育史編集は,その編集方針,目的にそって,必要経費等もじゅう分考慮して進めなければならないので,こうした貴重なご意見等を,しんしゃくし,すぐれた内容の教育史を刊行するため,編集会議で慎重な検討を重ねていきたい。


収集した資料の一部


(編集のひととき)


実験学校の紹介

教育活動の効果的・効率的な実践のための教授組織

福島市立吉井田小学校の部

研究・相談部  内藤 善次


合併授業による大集団指導

1 研究の趣旨

科学技術の進歩は,知識量の拡大とその質を高度化し,子どもの生活をも多様化させている,このような技術革新は,教育内容や方法・技術にも必然的に波及し,教育活動の改善をせまっている。このような現状に対処するには,機能的な協力組織体制について,学校経営を再検討する必要があるだろう。次にその具体事項をあげることにする。

(1) 三層構造での学校経営によリ機能発揮をはかる。

従来も学校教育は,学校・学年・学級と組織的な体裁は整えられているが,機能的には,学校経営方針・施策・業務なりが学級に直結し,学年の立場は,らち外におかれたようである。この学年の立場を検討し,指導・業務管理の推進母体として,学校・学年(学年団)・学級の協カ体制をつくり,学校経営の効率を高める。

(2) 弾力的な学級集団の再編成により,個別化,集団化をはかる。


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