福島県教育センター所報 第4号(S46/1971.12) -013/025page

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子どもの発達段階・経験に応じ,教材内容に即して,組織的に既成学級を弾力的に取り扱い,大集団,小集団に再編成し,ひとりひとりの子どもの学習成立をより効果的にする。

(3) 教師の協カ体制により,本質的な授業を展開する。

教師の特性を生かした協力による,単元指導計画の共同作成,授業における教育機器を導入した分業
・協業の組織的な実践により,子どもの能力を開発し,心身の調和的発達をはかる。

2 教育経営・活動の改善としての研究の視点

(1) 協力体制としての学年(学年団)経営

学校経営組織において,指導と校務分掌を協力分担方式に合わせて組織する。その推進母体を学年(学年団)におき,学習指導・生徒指導はもちろんのこと,校務分掌も学年(学年団)において有機的に企画できるようにする。

(2) 単元指導計画の共同作成

実際授業のための1時間ごとの授業案を単元指導計画とし,単位学年,あるいは近接学年による学年団で共同作成する。そのため学年(学年団)の組織を分業・協業が可能であるよう配慮するとともに,その作成が勤務時間内に位置づけられるようにする。

(3) 教材,発達段階・経験に応じた単位集団の再編成

教科の性質,あるいは教科内容に応じ,子どもの発達段階,経験によって,既成の学級集団を合わせて大集団にしたり,グループに分けて小集団にしたりすることである。そのためには,単位学年の教師が協力して,生徒指導が行なわれる体制にする。

(4) 教師の特性を生かしたチーム・ワーク

効果的な授業として,教師の特性を生かし,かつ教育概器の導入を可能にするため,TL・RT・STといったような役割で協カし,本質的な授業展開をめざすことである。その役割は固定したものでなく,教材の内容によって弾力性をもたせ,各教師の特性の発揮をはかることによって,チーム・ワークをも考えることにする。このことは,たぶんに経験の少ない教師にとっては,グルーピングによる自校研修の一方式とも考える。

3 教授組織改善の型

教育活動についてのこの種の研究は,教授組織のほか,教科担任(担当)制とか,ティーム・ティチングなどと呼ばれている,しかし教科担任制といっても,ある学年の全教科を対象とするのでなく,1部教科の分担であり,ティーム・ティーチングといっても教員組織の改編とか,無学年制をさしているのでなく,運営上からのことである。いずれにしても組織的な授業の改造であり,大同小異であると解することができよう。呼び名か多様であることは,その内容も多岐にわだり,こうでなければならないと定義づけることは困難であろう。しかし研究にあたっては,範囲を限定し,具体的に事実としてとらえる必要があるので,次におもなパターンをあげることにする。

第1表 教授組織改善の型

指導の実際における教科の分担 単元指導計画の作成 単位集団の編成
1 分担する 協同で行なう 弾力的な編成をする
2 同上 同上 能力別編成をする
3 同上 同上 既成学級でする
4 同上 個人で行なう 能力別編成をする
5 同上 同上 既成学級でする
6 分担しない 協同で行なう 弾力的な編成をする
7 同上 同上 能力別編成をする
8 同上 同上 既成学級でする


※(1) 指導の実際における教科の分担

分担する― 実際指導において,同一学年の教科もしくは教科内領城の分担 を継続的に行なう。その反対が分担しない。


 (2) 単元指導計画の作成


協同で行なう― ある単元(題材)について,2名以上の教師が,学校組 織のもとに協カして,指導計画を作成する。その反対 が個人で行なう。


 (3) 単位集団の編成


弾力的な編成をする― 既成学級に固定せず,大・中・小集団に弾力的な再偏成を し,併用する。その反対が,既成学級でする。
能力別編成をする― 能カ別に単位集団を編成する。
既成学級でする― 既成学級をそのまま単位とする。

4 教授組織の機能

(1) 専門的分担

学級担任制の長所のうえに,職能的分化をおしすすめた専門化と,その協同化によって教育効果をあげようとする。職能的分化は,専攻教科を中心とするが,得意とする教科,あるいは開拓しようとする教科についての分担であり,そのことが組織活動として分業,協業することにより,集大成をはかることである。

(2) 協力体制

教育課程の管理や授業充実の根底としてのスタッフの構成と,そのかかわりあいを効率的にすることである。従来とも学校は,学年・学級を単位として経営されているが,組織体としてその機能をいっそう


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