福島県教育センター所報 第5号(S47/1972.3) -002/025page

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教育内容・方法に関する研究,資料提供

―小・中・高,教材研究を中心として―

高校教材

磁気教材の定量的取扱いについて

第2班研修部  柴田 宣教

理科を学ぶにあたり,もっとも大切なことは単位を理解することではないかと考える。1Aの電流が分らなくては電気の授業が進められないのではなかろうか。磁気の教材でも1アンペア/mをソレノイドに電流を流して定義しているが,学ぶほうは半真半疑である。それでこの単位を使って測定実験をおこない,この単位になじませることが大切ではないかと考える。

電流による磁界については指導要領の改定により小学校から教えることになった。中学校で教え高校で三たび教えることになる。そこで高校では従前にも増して定量的な取扱いをすることを考えるべきであろう。従来の高校では円形電流の中心の磁界が だとか,ソレノイドの中心の磁界が だとか,教え込んでいるが,実験的にあつかっている例をほどんと見ないのである.以上2つの理由から磁気教材の定量又は半定量的な取り扱いを工夫してみたのでここに報告する。

1. 磁界測定用具の製作

磁界測定用の機器としては磁束計(磁力計)があるが10万円以上の高価なものであり,授業に使用するのは容易でない。市販の磁束計は最近のものは半導体ホール素子を用いたものが多い。ホール素子だけを購入し自作するとしても,ホール素子は6〜7,000円の高価なものであり,又使用するmV計は5mVフールスケールぐらいの感度の良いものを必要とするので授業に使用する目的で自作することは容易ではない。

古い型の磁束計はサーチコイルを磁界内で回転させ,そこに生じた超電力を調べ磁界の強さを測る型式である。

これをまねて自作したのが図1である。これに関しても理科センター紀要第5号に野地先生が発表しておられるが,これを多少改造して実験した。

起電力を調べるのに適当なmV計が入手できない場合を考え,理振のμA計で代用することにした。

<図1>
<図1>

2. 磁場の規準の製作

ヘルムホルツコイルは比較的広い範囲に一様の磁界を作り,しかも巻き数・半径及び電流を一定にすれば,その磁場が計算されるので,これを作リ,磁場のスタンダードにすることにした。

<図2>
<図2>

<図3>
<図3>

塩ビパイプ(直径12.5cm)を2cmに輪切りにし,ベニヤ板に穴をあけてはめこみ,図2のような巻きわくを2個作り,そのおのおのに直径1mmのエナメル線を50回同じ向きに巻く。これをコイルの平均半径だけはなして図3のように板に取りつけた。

コイルの半径をRm,一方のコイルの巻数をN回,電流をIAとすると,コイル内の磁界の強さは
アンペア/mで与えられる。したがって,このコイルの場合は であるから,4A流すとH=21×10 2 アンペア/mとなる筈である。

東芝製の磁束計でこのコイル内の磁界を測定して見たら26.8ガウス即ち21.3×10 2 A/mであり,計算値との違いはほどんとなく,学校に於けるおおよその基準としてはじゅうぶん使用できる。なお長く4Aの電流を流しておくとコイルが発熱するが,基準として用いるのは単時間で間に合うのでじゅうぶん耐えられる。

3. 自作磁束計の検定

上記ヘルホルツコイルの電流を変え,その中に自作磁束計をおき,測定したのが次の表及び図4である。


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