福島県教育センター所報 第5号(S47/1972.3) -013/025page
講義を受け,また教材研究をとりあげ,演習・協議を行なった。受講された先生方の熱心な研修により,われわれの期待した成果がほぼ得られたのではないかと思っている。内容の展開にあたっても先生方自身で探究の過程をたどっていくような方法を用いたり,また実験をより目的にそうよう器具の製作や器具のくふうなど方法上にもバライティをもたせ,新しい理科教育の方向をつかんでもらった。
短期間に本年は全分野を研修することにしたので,内容も多く,日程もぎっちりくんだためゆとりをもって研修することができず,計画に追われじっくり考えて行なうことができなかったのではなかったかと思う。来年度の講座に於ては,内容的にもくふうして,グループによる問題の追求の時間を設けるとか,内容の量,展開方法などについて検討を加え,一層充実した講座にしていきたい。
中学校理科実技講座
10月27日〜30日までの4日間にわたり製作および実技を主体にした講座を開設した結果,参加した先生方から極めて好評であった。
その理由として,[1]非常に少額の製作費用で,指導に直接役だつ機器の製作ができ,しかも新しい指導内容(新指導要領)に即したものである。[2]実験・実習の指導過程で特に問題視されている点に触れ(検証実験)今後の指導を意義あるものにすることができたなどがあげられた。
47年度は新指導要領をふまえて製作機器の開発と検討を加え,指導を能率的にしかも探究の過程を重視した授業が展開できるような指導(実験・実習を含め)方法の検討を,講座に盛りこんでいきたいと考えている。
また,とかく時間の関係や,地域的な差異などによってややもすると実施困難とされている生物・地学領域における野外指導についても,理科教育の中でいかにとらえ,いかに分析し,総合的に考察させていくべきかなど,お互に検討し研究する機会を野外で持ちたいと考えている。
高等学校理科教育現代化講座
9月27日〜10月1日の5日間,物理,化学,生物の各教科について実施し,64名の先生方が受講された。本年度は,文部省の指導資料(新しい理科教育)が改訂・増補され,各教科とも新しいテーマ(物理:磁気測定の実験・X線による結晶解析・化学:結晶の規則性,乱雑さの概念の指導,生物:恒常性の指導,人工突然変異の実験・等)を取りあげた。先生方の意欲的な活動,実践的な立場からの研究討義によって,講座内容をより密度の高いものにすることができた。現代化指導のキーポイントの一つである評価の問題を,グループ(宿舎の部屋別)で作成した実例を中心に協議する時間を設定した。現代化の指導が実践の段階に入ったので,活ぱつな意見交換が行なわれ,効果的だった。
講座内容について,製作的な内容をつけ加える,野外実習(生物)の時間をもうけるなどの希望があったが,これらについては,今後検討してみたい。評価の問題については,来年度も継続して取りあげるようにしたい。
5年計画で始まった本講座も,来年度が最終回である。しめくくりの年にふさわしい内容にしたいと考えている。
高等学校理科実技講座
今年度より新らたに開設した講座で,新しい機器の取扱い,実験器具の製作などを中心に,今迄の現代化講座と異ったタイプで11月8日〜11日までの4日間にわたり実施した。
物理・ミリカンの実験,諸測定器具の製作,化学・ガスクロマトグラフの取扱い,結晶観察のための簡易偏光装置の製作,生物・電子顕微鏡実習,ショウジヨウバエの交配実験,地学・鉱物のX線解析,花粉分析実習など受講生も現場では仲々手がけられないものだけに熱心にしかも深い興味を示していた。
受講生のアンケートにもあったが,内容を盛り過ぎて総花的にたった感もあるので明年度は上記のものについてはもっと多くの日時をとって更に内容のあるものにしたい。また地学では臨地研修なども取りあげてみたいと考えている。
技術・家庭科
技術 :技術教育についての実技の向上と理解を深めるため本年度は,中堅教員を対象に4回,120名実施した。内容は改訂された領域に視点をあて実験・実習を中心として行ない新しい教育課程の完全実施に役立つようにくふうした。また,最終日には,各ブロックごとに実践例の情報を交換し間題点の研究協議を行なった。しかし,講座期間が6日の関係で全領域についての実技研修ができなかったことを反省している。期日については,中学校の進路指導の関係で12月,2,3月は講座を実施しないこと,期間については,前後期に分けて10日間が必要である,教材教具製作講座を特設してはどうかなど貴な意見が受講生からだされた。各回の受講生は,研究的にしかも精力的に研修され,私たち所員としては,敬服している。
次年度は初年度の反省を参考にして,各領域の内容を精選し講座内容を組み教材教具の製作実習を加味し,各専門分野の外部講師も各回ともお願いし,教育実践に役くだつように各計画を立案したい。なお,伊達管内中学校技術家庭科研究会の実技研修会をはじめ,各個人が当所の施設設備のご活用いただき所員の研修にご協カくださったことを深謝いたします。