福島県教育センター所報 第5号(S47/1972.3) -016/025page
研究・相談部
研究・相談部においてはつぎにあげる事項に関する事業を担当している。
・教育に関する調査研究に関すること。
・教育相談の実施および研修に関すること。
・教育図書および資料の収集・活用に関すること。
・教育に関する資料の作成およぴ活用に関すること。
これらのことに関しての本年度実施した内容および,その成果はつぎのとおりである。1. 調査研究に関する成果
本年度は,昨年度よりの継続研究としての,「小学校における教授組織に関する研究」「福島県診断標準学力テスト問題の作成」と,新しくとりあげた,「学習指導上の問題点の分析的研究」「学校経営改善に関する研究」「子どもの社会認識に関する研究」とについて,実証的に調査研究を行なった。
(1) 小学校における教授組織に関する研究
教育活動の効果的・効率的な実践のための教授組織を実証的に明らかにすることをねらいとした研究である。すなわち,ひとりひとりの子どもの能力を開発し,心身の調和的発達をはかるため,教師の特性を生かし,本質的な授業を展開しうるような教授組織を,次の視点に立って,実験学校を設定し研究を行なってきた。
[1]弾力的な集団の取り扱いによる合併授業
[2]教育機器の導入と個別化・集団化の複数授業
[3]小規模校における授業の改造
実験学校には,次の学校をお願いしている。
・福島市立吉井田小学校 校長 安田正吉
・安達町立下川崎小学校 校長 石川 博
この研究の結果について,各学校における教育計画の改善の資料に役立てるため,研究報告書(紀要)にまとめ3月末に各学校に配布する予定である。(2) 学校経営改善に関する研究
本県における学校経営の現状と理念を明らかにし,今後の学校経営の効果的・効率的な運営の推進に役立てる基礎資料を得るため,学校経営の実態を調査研究する。
その調査の内容はつぎのとおりである。
[1]教育目標の設定および実現化の実態
[2]校内組織および運営の実態
[3]校内研修の実態
[4]教育計画立案の状況
この実態調査は,小・中学校においては,学校規模を条件として層化し,1/4無作為抽出により標本校を抽出し,調査を実施した。高等学校は全日制高校を対象として全数調査をする。
なお,この調査は質問紙による調査であるが,調査の妥当性,信頼性を高めるために,学校訪問による若干の面接調査も併用したい。
調査の結果を研究報告書(紀要)にまとめ各学校に配布する予定である。
(3) 福島県診断標準学カテスト問題の研究
全県的な立場から学校およぴ児童の学力をとらえ,学習指導に役立てることを目的として,「福島県診断標準学力テスト問題」を作成し各学校の活用をはかっている。この学力テスト問題は,児童・生徒の学力を診断できるように,また,測定用具としての妥当性,信頼性を高めるように,つぎの点に特に配慮している。
[1] 問題の構成は,領域を設け,領域別に標準化し,教科の学力を診断できるようにした。
[2] 指導目標を分析して,子どもの到達度や欠陥がとらえられるように問題を構成した。
[3] 診断性をもたせるため,問題数を多くし,テスト問題としての信頼性を高めるように配慮した。 作成したテスト問題はつぎのとおりで,学校の希望に応じ,実費頒布しているのでご活用ください。
・小学校1年から6年までの国語,算数
・小学校4年から6年までの杜会,理科
(4) 学習指導上の問題点の分析研究
本年度作成した「診断標準学カテスト問題」の標準化のため標本校を対象として実施したテストの答案について,誤答分析をおこない,学習指導上の問題を明らかにし,学習指導改善の基礎資料を提供するものである。
この研究の結果を報告書(紀要)にまとめ,3月末各学校に配布する予定である。その内容はつぎのとおりである。
・国語,算数の診断と指導
これは,小学校1年から6年までの国語,算数についてまとめる。
・社会,理科の診断と指導
これは,小学校4年から6年までの社会,理科についてまとめる。 (5) 学習指導改善に関する研究
本年度は理科の指導に役立てる資料を提供することにした。その内容は,教材化できる実験についての資料を中心とし,
・高等学校における物理,化学,生物,地学関係