福島県教育センター所報 第5号(S47/1972.3) -018/025page

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教育用語解説

情  報

第3研修部
小原 健次郎
金沢 義夫


人間の意思決定になんらかの影響をあたえるもので,有害だからその食物をとらないというようにマイナスの情報もある。また,一冊の図書のような論理型であるものと……駅構内のアナウンスのように非論理型の情報もある。

しかし,「情報」という言語の定義はいまのところ定着していない。従って「情報化」という言語を定義づけることはむづかしいが,ここでは,
「実用的機能にくらべて,情報的機能の比重が次第に増加していく傾向」と考えておきい。

この「実用的機能」とは,情報的機能と対のことばで一例をあげると,万年筆を買う場合,実用的には書ければよいわけだが,たまたまデザインに気をとられることがあるという次第のこと……。

ときに,今日の6才の子供の知識量は,30年前に,60才の老人がもっていた知識量に匹敵するといわれ,なお,今日の生徒が全身から受けとる情報量は,ノイマンの計算によれば,1秒間に1,400億ビヅトというから,大型コンピュータの約14万倍にあたる刺激をうけていることになる。一生の期間に計算すると厖大なものになる。

でも,都合よく忘却していく。そして都合よく身のまわりの情報を整理しなければならない。
この「情報を整理する」には問題意識が必要である。

ありうべきいろいろな配列のすべての集合のなかで,特定の配列を指定することのできる「制御」という行動にもとづくことも必要とされている。

情報理論ではこの問題意識をもつことを,「エントロピーを減少させる」といっている。
すなわち,インクの一滴が水に拡散してしまったあとでは,インクの粒子がどこにあるのかわからない。位置的に不確実性がふえてしまったのである。
この不確実性の大きさを情報理論ではエントロピーと名付けている。
インクの場合,拡散することによってエントロピーが増大したわけである。

人間の場合,情報の影響をうけながら,情報にうもれしまい,知識が拡散してしまい,そして意識の不確実性がふえてしまうことは,決して望ましいことではない。「情報」を否定できない今日にあっては,情報にまどわされないものを?んでおかないと,情報の渦中にのまれる結果になる。
エントロピーの減少が,情報を有効なものとする。

ビット

わかれ道にある 道しるべ は,どちらに行けば目的地に至るものかを知らせてくれる。このとき,道しるべの情報の量が,1ビットといわれている。
一般的には,二つのもののうちからひとつを選び出すのに要する情報の量を1ビットという。

(例)・印は道しるべ、×印は目的地
二つからひとつをきめるのには
・印がひとつでよい。 1ビット
四つからひとつをきめるのには
・印が二つでよい。 2ビット
八つからひとつをきめるのには
・印が三つでよい。 3ビット

このことから、P通リからひとつをきめるにはnビットでよいので

   P = 2 n

という式が成立する。

そこで下図のような場合には

   3 = 2 n

これより

    log 2  3 = n

となり、下表によると1.58ビットになる。

2を底返とする対数表
1 0.00000 10 3.32193 19 4.24793
2 1.00000 11 3.45943 20 4.32193
3 1.58496 12 3.58496 21 4.39232
4 2.00000 13 3.70044 22 4.45943
5 2.32193 14 3.80735 23 4.52356
6 2.58496 15 3.90689 24 4.58496
7 2.80735 16 4.00000 25 4.64386
8 3.00000 17 4.08746
9 3.16993 18 4.16993

長さをメートルで表わすように、情報も量としてビットという単位を用いている。ビットは情報理論の基本的単位であリ、「20の扉」の質問の二者撰一とか2進法とかと からみ合って 、ひとつのタイプに成長している。
語源はbinary digitを略したもので(bit)と書く。記憶容量を表わすのによく用いられる。


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