福島県教育センター所報 第5号(S47/1972.3) -020/025page

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れている。文部省の「生徒指導の手びき」では「ひとりひとりの子どもの教育上の諸問題について,本人またはその親,教師などに,その望ましいあり方について助言指導することを意味する。いいかえれば,個人のもつ悩みや困難を解決してやることにより,その生活によく適応させ,人格成長への援助を図ろうとするものである。」と述べている。このことは,学校における教育相談の意味を概括したものといえるであろう。(学校教育全書5)

この教育相談 が本格的に普及したのは戦後のことで,時代とともに,子どもの問題の現われ方や親の態度の変化が感じられる。つまり,

1.親の自信喪失時代 (終戦後―昭和30年まで)

終戦によって大きく社会が変わり,価値観も逆転し,子どもの欲求を否定すると好ましくない行動が起ると説明され,子どもにふりまわされる「でき愛型」のタイプが目立った。このころは非行が爆発的に増加し,親のいうことをきかない,乱暴な子が多かった。

2.過保護時代 (昭和3年前後)

世の中もしだいに落ち着き,母親は全力をあげてゆき届いた育児や教育を行ない,子どもを有名校へあげようと躍起になる風潮が目立ち「教育ママ」ということばが出現した。親の意識の過剰が気になるこの時代は,注意散慢,知能,進路等についての相談がふえてきた。

3.干渉・支配優位時代 (昭和40年前後まで)

東京オリンピック(昭和39年)のころから「根性」が強調され,ひよわな「もやしっ子」をつくる過保護教育が批判され始め,親の権威を回復してくると,内気・消極的・無気力・登校拒否などが目立ってきた。

4.合理主義育児時代 (現在)

ごく最近の20代のおかあさんのなかには,自分の感情や理屈どおりにならないと遠慮なく子どもを叱かりとばし,ひどい折かんさえする拒否的な態度が目立ち,情緒不安定・心身症・神経症・自閉症など情緒障害に起因するケースが多くなったという。

さて ,小中高校生をもつご両親,そして先生方は,お子さんについて,いろいろ悩みをもっていることでしょう。そんな方々に,本書「 教育相談室 」の一読をおすすめする。

この本には ,親としてあるいは先生として考えねばならない問題がほとんどとりあけられている。年令,学年が示してあるので,自分の子どもにあてはめて考えることができる。

この本は ,家庭の日常生活・学習と進路・学校生活・家族関係・性に関する教育相談など五つの領域に分けてまとめてある。

この本の利用のしかた を申しあげると,


[1] お子さんの教育のことで心配な方は,最後の「お母さん,こんな点を注意なさったら」「お父さん,こんな点を注意なさったら」を読んで自分のあり方を考えてみたらどうでしょう。

[2] この本は事典のように座右において必要なときお子さんの発育や年令に応じて,いま心配なこと今後心配が予定される項目をお読みいただくようにできている。

[3] ただ読んでわかるだけでなく,自分にあてはめて消化し,血肉にすることが肝要である。PTAや家庭教育学級などで,この本に書いてあることを材料にして討論し考えてみることも,じょうずな利用法といえよう。

教育相談の問題は ,単に知識・技術・方法論だけで解決するものでなく,親と子,担任と生徒の感情的なふれ合いやつながりにも目を向けることが必要であろう。

心配な点については ,まずこの本で考え,担任の先生にもきいて努カし,なお問題がのこるときは,思いきって,相談所などに申し込んだらどうでしょう。

この本には 相談所や博物館,図書館などの利用のしかたや,全国相談機関の一覧表が付してある(ただし本県教育センター教育相談がぬけているがお忘れなく。)
この本を ,各学校,各家庭に備えておけば,そこが,「 教育相談室 」となるであろう。(日本放送出版協会,B6判,580円)



明治期における学校沿革誌(2)

―その編さん過程の概観―

研究・相談部  松崎 弘道

5. 記載項目の統一

「様式が各郡区々になっているのは,県庁から一定の様式を示さないため」(福島教育第73号)とし,早急な指示・指導が望まれていた。県教育会は,記載すべき基本事項13項目を部会に提案(前述誌,同号)しているが,これは県訓令第48号による沿革誌の保存期限を16年


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