福島県教育センター所報ふくしま No.6(S47/1972.6) -004/025page

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1) 1年 ・会話のところに,かぎ(「 」)をつける。
2) 2年 ・句読点を正しくうつ。
    ・会話のところに,かぎ(「」)をつける。
    ・文章を読みかえしてまちがいを正す。
3) 3年 ・段落の正しい文章を書く。
4) 4年 ・文を続けて文章を作る。
    ・段落の区切りが正しく,主題,要旨の明確
な文章を書く。
5) 5年 ・文を続けて文章を作る。

 この領域では,まとまりのある文を書くために必要 な符号の表記のしかたが低学年では不確実であり,中・高学年では,段落の相互関係をは握して,文章を書 くということが劣っていることである。

2 問題点の考察と対策
(1)拗・撥・促音の表記
 低学年に見られる傾向であるが,正しい表記が身に ついていない。きんぎよ,じどうしや,ちやわんとい う例が多い.発音訓練と並行して指導していくことが のぞましい。

(2)漢字を正しく書く。
 共通している点としては,点画の過不足と想起の不 完全からくる誤りである。

  漢字の誤り
はその例である。

  またあて字の多いのにもおどろく
 ・明るい−赤るい ・自分−白文 ・回数−会数,貝数 ・止める−取める ・対策−対作

 これらの誤りは,漢字を正しく認知していないこと からおこるものと考えられる。漢字の指導にあたって は,漢字のもつ機能(表意文字)を理解させ,字画を 正確をこ認知させることに加えて,じゆうぶんな練習の 時間をとるべきであろう。ただ,点画を厳重にするあ まり,こどもに漢字アレルギーをおこさせないように 配慮すべきである。

(3)正しい筆順で漢字を書く。
学年 平均正答率
正答率 54.1 77.0 34.1 64.6 59.6 59.8 58.2

50〜60%台の正答率であるので,約40%の児童の筆順は,ひとりよがりのものである。児童のなかには,筆順などにこだわりなく,最後に完全な形としてまとまればよいのではないかという,結果論的な考え方が強いようにうけとめられる。

 漢字を書く能力と,正しい筆順とは深いつながりがあるといわれる。もともと筆順は,漢字の生成にかかわりがあるので,正しい順序で書写することによって,漢字に対する理解が深まり,正確と速度と字形が身にっくものである。指導にあたっては,具体的な例によって,筆順の重要性と,筆順そのものを理解させ,それが習慣化するようにつとめなければならない。

 教師のふだんの板書の影響も,みのがせないことのひとつであることを,付言したい。

(4)同音・同訓,形の似ている漢字を使いわける。  3年生以上を対象さこして作問してみたが,結果を分 析してみると,混同して使用していることは案外に少 なく,漢字そのものがわからないために,無答にして あるのがめだった。ただ形の極端に似ているものとし て,

・合う−会う ・複−復 ・検−険 ・住−往−注 ・板−坂−返・燃一焼一熱,などの使用には混乱が見られる。

  前にものべたが,字源・字義ということを加味した 指導が,この混乱を防止する手段のひとつになると考 えられる。

(5)記付号のつかいかた。
 作文の指導では,内容面を重視することは当然であ るが,自分の思想心情を正しく文章化するのには,形 式面の理解も重要であることにも注目させねばならな い。かっこ(「」)のつかい方,句読点のうち方など のあやまりが,文章の性格をどのように変えてしまう かを,具体的な例をとおして指導すべきである。

 かぎの指導にあたっては,「○○は,○○だ」とい う基本文型を,正しくおさえられる能力を育てること が大切である。「おかあさんは,じどうしゃに気をつ けてね。といいました。」この文で,○○はにあたる のが,「おかあさんは」で,○○だというのが「いい ました。」ということであるから,「じどうしゃに気を つけてね。」というのが,おかあさんのはなしことば になるということが,理解できるであろう。

(6)段落の正しい文章を書く。
 段落に関する問題の正答率は次のとおりである。
学年
正答率 40.3 33.0 71.3 51.9

 テストでは,長文を段落にきること段落に順序をつけることの作業をとおして,段落意識を測定したのであるが,やや無理な点もあったことを反省している。 児童の作文からうかがえるものとして

1 全然段落を意識しないもの。
2 段落を細かく切りすぎているもの。
3 ひとつの段落に他の段落がいりまじっているもの。
4 段落の切り方がおかしいもの。
5 段落と段落のつながりがうまくいかないもの。

 などがあるが,作文の指導のときの構想表づくりの段階で,書こうとすることに小見出しをつけさせ,その小見出しが段落となることに注目させる。段落の軽重を検討しながら,効果的な叙述をするためには,段落の順序をどのように配列するかを考えていくことの繰返しによって,段落意識を強めていくことはどうだろうか。


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