福島県教育センター所報ふくしま No.6(S47/1972.6) -005/025page

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 社  会  科

 第1研修部   佐  藤  禎  助

1 領域の設定と,その平均正答率
 標準学力テストは,児童の学習の結果を珍断し,学習上の問題点きらかにして,その対策をたてるために実施するものであるが,社会科はその性格上,テスト問題の作成はたいへんにむずかしく,この場合,一般に単元の学習内容を領域として問題を作成する傾向が多い。しかも.能力概念からみると,「知識・理解」面についての出題にかたよりやすく,「能力」一「態度」面の出題に欠ける傾向が強い。

 今回は,4年・5年・6年についての問題作成を行ない,その領域の設定にあたっては,前述の点を反省し,「能力の重視」がうたわれている新指導要領のねらいを生かして,能力概念による領域を主軸として作間することにした。ここにおいて,指導要領の総括的目標を検討した結果,”社会生活の理解”はわかっても,”公民的資質”というものをどうとらえたらよいかということが問題になり,このことについては,・具体目標から解釈して次の表1に示すような領域に分化した。
 なお,内容的には,その学年で学習するすべての単元についてふれるようにし,指導要領の改訂点をとりノいれることには,とくに留意した。
 このような配慮によって作成した問題を標準化するために実施したテストの,領域別平均正答率を,学年別にみると「表1」の通りである。

 表1  領域と,学年別平均正答率(%)
  領             域   4年   5年   6年
社会生活の

理解

(1)要素的な理解 59.0 57.6 67.2 64.4 62.3 54.4
(2)総合的な理解 55.5 62.0 48.0
社会的な判断

の能力

(3)観察力 48.4 52.9 58.6 59.4 37.6 39.5
(4)思考力 55.2 67.6 41.7
(5)資料活用能力 55.0 54.3 43.9
社会の成員

としての態度

(6)事実への関心 60.4 62.2 72.2 74.6 69.4 73.6
(7)社会的な心情 63.9 77.1 77.8
              総平均   57.1   64.7   53.7

 2 正答率からみた陥没傾向の概観

 紙面に限りがあるので,正答率については「表1」のように領域別の平均正答率だけしかのせることができなかったが,各問題の大問・小問正答率や内容までも検討しながらテストの結果を概観してみると,次のような傾向をあげることができる。

(1)各学年の陥没の傾向が共通している
 各学年の総平均の正答率は,それぞれ所期の予想を上回ったのぞましい結果が得られ,これについては問題はない。しかし,これを領域間で比べると,平均正答率は各学年ともに較差が大きく,これが,小領域間になるとその較差はさらに大きくなり,小問正答率においては極端なムラがみられる。

  その平均正答率の陥没の傾向を,一応,(1)〜(7)の小領域についてわかりやすくみるために,各学年のものを折線であらわしたのが「表2」のグラフである。
表2 正答率からみた陥没傾向の概観

 これらの表からみると,各学年の数値の高低はまちまちであるが,陥没している領域の傾向性は,まったく共通していることがわかる。

(2)「社会的な判断の能力」が劣る各学年に共通してみられる傾向性を,領域別にあげると,
 1) 社会生活の理解
   各学年ともに,この領域の平均正答率は,その学年の総平均正答率に近い数値を示している。
   これを小領域でみると,1(四角囲み)要素的理解は60%以上でいずれもよかったが,2(四角囲み)総合的理解が劣っている。特に6年の2(四角囲み)は48.0%と低く,1(四角囲み)との軽差が大きい。


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