福島県教育センター所報ふくしま No.6(S47/1972.6) -007/025page

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 たことは,
 a,「何を考えるのか」考える視点がわからない。
 b,「どのように考えるのか」考え方がわからない。
 c,特に,事実・事象と他の事実・事象との関連の思老に劣る。
 などのつまずきについてである。

  小学校の段階では,思考力を高める指導は至難なことではあるが,各学年の発達段階なりの思考のさせ方はあるはずだし,思考を因子的にみた場合,4年以上では,すべての因子について扱うべきだとされている。

 考え方の指導の際には,ただばく然と考えさせるのではなく,

ア 思考のすじ道を具体的には握させる。
  そのためには,教師自身が,
イ 思考を,単純から複雑へ,低次から高次なものへと進ませる手だてを検討。
ウ 「思考力」を,因子(例えば,山口康助氏による比較・条件・因果・関連・発展の5因子など) として分析的に検討。
  などが必要であると思う。

3 「資料活用能力」
  ここでは,資料の見方がわからないためと思われる初歩的な誤りが意外に多い。これは,
 a,資料についての基礎的な知識の不足。
 記号がわからない。表現されているきまりがわからない。など
 b,資料の活用のしかたの訓練不足。
 どんな資料を,どんな点に目を向けながらこどう活用するか。などがわかっていない。
  なかには,資料を見ないで,既得の知識だけで解答したための誤りと思われる例も多い。
 などの欠如によるものと思われる。

 与えられた資料を読みとらせる場合の指導では,
 ア 何をあらわしている資料か。
 イ どんな方法で表現したものか。
 ウ これから何と何がわかり,解決できるか。
   なお,統計資料であるならば,このほかに,
 エ 単位はどんなか。
 オ いつの年のものか。
 カ 出典はどこか。
   その他の視点もあると思われるが,ねらいに応じて,視点を明確にして資料をみることを,日常のくり返しをこおいて指導すべきである。さらに,
● 常に資料の裏付けをもってまとめる。
● 理解され,解釈されたものは,どうまとめ,どうあらわすかをくふうする。
  などへの指導も忘れてはならないと思う。

(3) 歴史的内容の陥没について
 今まで述べた領域別の欠点は,すなわち歴史的内容の陥没の理由にもつながっている。
  ここでは,歴史的内容の知識が体系的でないことが強く感じられる。
 ア 古い,新しいなど,今昔関係の理解。
 イ 時代は推移するということの理解。
 ウ 前と後の,事実・事象のつながりの理解。
  ということを柱に,体系化への指導をのぞみたい。
  なお,年表や歴史地図の活用を忘れないことと,現代地図が歴史学習に活用されることを,特に奨励したい。

 4 おわりに
 本テストの結果は,そのまま成績の評定として使うのではなく,学習の向上や改善のための目安への評価として使われることをのぞみたい。
 なお,つまずきの治療にあたっては,
  ア 指導要領のねらいから。
  イ 教師の指導実践過程の上から。
  ウ 子どもの学習状態と,定着のようすから。
 検討されることがたいせつであろう。

算  数  科

 第1研修部   鈴  木  広  司

1 はじめに

 当教育センターでは,全県的な立場から,学校および児童の学力をとらえ,学習指導に役立てることを目的として,「福島県診断標準学力検査問題」を作成し,それぞれの学枚で活用を願ってきた。今回の指導要領の改定にともなって,前回(昭和43年)のテスト問題を全面的に改正し,新指導要領の主旨に沿った問題を作成し,標準化をおこなった。以下このテスト結果を概括的に分析して,今後の学習指導改善の資料としたい。

 2 問題作成の基本方針

 このテスト問題は,それぞれの該当学年において学習した結果の学力実態を診断的にとらえ,今後の学習指導に役立てる資料を得るために用いられることを目的として作成したものである。問題の作成にあたっては,地域差,学校規模等を考慮して,45年11月に,対象校10校,対象人員1500名を無作為に抽出して予備調査を実施し,


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