福島県教育センター所報ふくしま No.6(S47/1972.6) -010/025page
率が見られた。特に4年では
○2つのことがらの起こる場合の落ちや重なりをし らべる
問題に抵抗が見られた。ここでのつまづきの原因は,ベン図の意味の不理解にあった。べン図は一種の位相図であるので,その包含関係以外それらの大きさには,なんらの意味ももたないことを理解させる指導も大切であることを,誤答分析をおこなって痛感した。高学年での数量関係,とくに統計的な数量関係では,可能性の集合づくりなどを通して,分類,整理などの考え方を発展させて,確率の素地指導をすることになっている。確率指導の対象となるものは「ストカスティック」なものであるが,二れを児童の身近かなものであり,興味もあり同一条件で多数回の試行可能なものとなると,素材に苦しむが,今後,確率統計の指導において,実験計画のたて方,実験のしかたを通して,確率の意味を理解させる指導法の改善工夫が望まれる。
理 科
第2研修部 佐 藤 亘
はじめに
当教育センターでは,児童の学力の実態をとらえ,今後の学習指導に役立てる資料を得ることを目的とした「福島県診断標準学力検査問題」を作成した。
このテストは,児童の学習の結果を診断的にとらえ,学習指導上の問題点を明らかにして,次の対策を老えるために行なうものであり,学校,学級および個々の児童の全県的位置づけによる学力の実態がとらえられるように配慮されたものである。
このテストの標準化をこあたっては,本県の当該学年の学力をとらえるのに適当と思われる標本を選んで実施したので,このテスト結果に現われた問題点は,本県の児童の陥ち入り易い問題点とも考えられる。
このテストの分析結畢の詳細は,当教育センター発行の研究紀要・第5号で報告するが,ここでは,その分析結果の概要とそこにあらわれた指導上の問題点とその対策などについて述べることにする。
なお,理科においては,テストの形式や方法のうえから上学年のみを対象として問題を作成し実施したものである。
分析結果の概要
学年別,領域別にその平均正答率をまとめたのが,つぎの表である。
このような傾向は,従来からみられたものであるが,ほとんどが50%を割る予想に反した低い成績であり,理科の学習指導についての研究をさらに深めなけれはならないことを痛感する。
領域ごとに,「知識・理解」を見る問題1と,「科学的能力」−観察,分類,測定,実験の計画,条件のコントロール,結果の解釈などを見る問題2との二つの観点からみると,全般に観点1に比べて2が低く,特に物質とエネルギー領域では,その差が著しい。このことは,理科の学習指導が知識注入にかたより,科学の方法を習得させるための指導が手薄になっていることを示していると思われる。
注)表中の記号は,つぎのことを示す。
Aは,生物とその環境,Bは,物質とエネルギー
Cは,地球と宇宙の各領域
観点1は,知識・理解面,2は,科学的能力面 の評価の観点。
()内の数字は,それぞれの領域の平均正答率。つぎに,具体例を挙げて問題点をさぐってみよう。
(1)メダカのふ化に関する知識・理解をみる問題(第5学年該当)
この問題に対する応答の結果は,下の表のようである。
アと反応した児童は,3年年でのカエルの学習がじ
選択肢 ア イ (ウ) エ 無答 応答率 33(%) 19 12 35 1