福島県教育センター所報ふくしま No.6(S47/1972.6) -011/025page
ゆうぶんに理解されていなかったことが理由の一つとも考えられるが,やはり,この単元での継続観察学習が手薄であったことに原因があると思われる。
このような教材では,継続観察を通して理解させるということが大切ではあるが,ただ「観察しておきなさい」の指導では,効果はあがらない。問題点を具体的につかませ,観察の観点を明確にしたうえで観察させることが必要である。また,観察したら,ありのままを正しく詳しく記録させるようにすることが,確かな知識を身につけさせるうえで大切なことである。
継続観察,比較観察などを通して理解を深める指導に問題があると思われる例としては,「フナのひれの数」「フナとヒトの比較」の問題があげられる。「フナのひれの数は何枚か」という問いに対して,4枚とした者22%,5枚が33%,6枚が30%もおり,また「ヒトとフナのからだのつくりを比べて,ヒトにだけあるものはどれか」という問いに対して,「きん肉」を選んだ者47%,「あばら骨」を選んだ者14%という結果がでている。ここでは,機能と関連させて考えさせたり,比較させたり五感を通してとらえさせるなどの観察学習のくふうが必要であろう。
このような例は4年生の場合にもいえることで,つぎのような問題が目立って低い正答率を示している。
○ ショウジョウバエの成長順序 5.8%
、 ○ コン虫のからだのつくり 28.6%
○ チョウのからだのつくり 16.0%
○ トンボの不完全変態 33.6%
○ 不完全変態の順序 24.1%(2)風向の観測の問題−基礎的技術・操作の能力
矢印のように風が吹いているとき,風向計の矢羽は,どちら向きになるでしょう。下の図のア〜エで正しいと思うもの一つえらび,その記号を□の中に書きなさい。 この間題に対する応答分析の結果は,表のようであ る。
選択肢 ア イ (ウ) エ 無答 応答率 47% 3 41 8 1 風向きを調べるのには,手軽な方法として,「煙のなびく向き」や「テープ」,「吹き流し」などを用いて観測するが,矢羽式の風向計の経験が少ないためと思われる。風向計を実際に使って観測の経験をしていれげ,おのずと理解されることであろうが,このような観測機器の使用は,実物あるいは類似の機器を用いて,そのつくりとはたらきを関連させながら理解させることが大切であろう。
同様な問題点は,顕微鏡の使い方の問題にもみられる。
顕微鏡をのぞいたら図のように見ようとするものが右上のほうによっていました。これを中心にもってくるには,ア〜エのどの方向にスライドガラスを動かせばよいでしょう。
選択肢 ア イ (ウ) エ 無答 応答率 2% 39 38 8 13 これは,児童が実際に顕微鏡を操作しながら観察するような場面が少ないのが原因と思われる。顕微鏡を自分で操作し,五感を通して経験すればおのずと理解されるであろう。操作・技術面の指導では,機械器具を手にし実際の操作行動をとおして経験させ,習熟させることが大切である。
さらに,機械・器具のしくみやはたらきを知り,なぜそのような使い方をしなければならないか,そのわけをその学年なりに理解させるように留意して,指導にあたることが必要である。
そのためにも,施設,設備の合理的な整備,活用の研究が大切になってくる。
(3) 気温と地温の変化のずれについての知識・理解をみる問題(第6学年該当)
地温と気温の最高温度になる時間は,ずれるのがふつうである。その理由で正しいものを一つえらびその記号を□の中に書きなさい。 ア,土の温度は,上がり方が急であるから
イ,実際はずれないのにグラフに書くときまちがえるから
ウ,空気は地面があたたまったあとにあたたまる
エ,空気のあたたまり方は.地面よりう速いから約70%の子どもは,空気と地面のどちらが速くあたたまるかということは,確かではない。さらに,「地温と気温の変化のずれの原因」についての正解者は29%という実態である。
選択肢 ア イ (ウ) エ 無答 応答率 15% 8 38 36 3