福島県教育センター所報ふくしま No.6(S47/1972.6) -012/025page

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 地温,気温の変化の類似性から変化をおこさせるものとしての太陽を位置づけ,太陽高度の変化によって地温気温の変化が生ずることから,地温,気温のずれを問題として,日光による物のあたたまり方の違いを意識させるといった,観測した事実にもとづいて,太陽高度,地温,気温の変化の関係を組み立てて総合的に考える指導が必要であろう。

(4) 実験・観察の結果を解釈する能力をみる問題

集気びんに,ある気体がはいっています。これ
に火のついたろうそくを入れたら,すぐ火は消え
た。このことから,この気体は何だといえます
か,つぎのア〜エの中からえらんで,その記号を
□の中に書きなさい。
ア,二酸化炭素である。 ウ,ちっ素である。
イ,酸素以外の気体である。 エ,酸素である。

選択肢 (イ) 無答
応答率 57 12 21 7 3

 「二酸化炭素」と答えた児童が57%もいるということは,考えなければならない。これは,二酸化炭素は火を消す力があるといったまちがったとらえ方,あるいは二酸化炭素があれば火はもえないとか,二酸化炭素がなければ火は消えないといったとらえ方をしている事が原因と考えられる。

 これは,二酸化炭素や酸素の性質のとらえさせ方の指導に問題があるのではないだろうか。火がすぐ消えたのだから,びんの中の気体は,酸素でないことは確かである。しかし,消えたからといってすぐ二酸化炭素であるとはいえない。ちっ素であるかも知れないし,アンモニアであるかも知れない。それは,ろうそくがもえるという現象には,酸素だけが関与するのであり,酸素がなければ火はもえ続けないからである。

 このように,筋道を立てて論理的に思考を進め,解釈したり,処理したりできる能力が大切であり,指導に当たっては,特に留意したい点である。

 その他の問題では,「配線図の見方,書き方」,「電流計の使い方」,「電流と発熱」一など,電気回路の概念にかかわる問題や,実験結果から推論するといった問題などが非常に低い正答率を示している。

 ま と め

 以上,代表的な問題場面を挙げて述べてきたが,全体を通して問題点をまとめてみると,次のような点が挙げられる。
(1)実験・観察の指導にくふうが必要である。
(ア) 継続観察,比較観察がじゆうぶんなされていないためと思われる誤答が目立っている。
(イ) 観察や実験のねらいを明確につかませ,事実にもとづいて,筋道を立てて考えたり,比較したりする
 指導が欠けているためと思われる誤答も多い。
(2) 基礎的な操作・技術の指導に留意する必要がある。
 その操作・技術で何がもっとも基礎的なものか,基本は何であるかをおさえて能率的に指導することが必要である。
(3) 事実や原理・法則を応用する能力に欠ける。
 教科書や教室でした実験と少し形を変えられた問題になるとわからなくなってしまう。
 理解を深め,原理・法則の適用を拡張していくような指導のくふうが必要である。
(4) 科学の方法が身についていない。
 観察の方法,実験に対する条件の整理やコントロールのし方,モデルの導入の方法,データの処理,データの解釈の方法など,その訓練の場面を常に考えられる指導が必要である。
 なお,ある面では,理科教育以前の問題かも知れないが,自分の考え(解答)を文責にまとめるといった,表現能力が劣ること,問題をよく読んで,問題の意図を正しくつかんでから考えるといった態度に欠ける面が強く感じられた。
 学力テストの分析結果を概観してきたが,さらにくわしくは,前記した「福島県診断標準学力検査問題報告書」を参考にされて,理解の指導の充実を期していただきたいと思う。

 児童・生徒の生活意識と社会観に関する研究

 −性意識に関する調査から−

研究・相談部  金 木 和 子

 1 調査にあたって
 全国教育所連盟では,子どもの社会認識に関するテーマのもとに「児童・生徒の生活意識と社会観に関する研究」の一項目として性意識に関する調査を昨年10月上旬に実施した。(全国で14県がこの間題ととりくんでいる。)


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