福島県教育センター所報ふくしま No.6(S47/1972.6) -015/025page

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 手をつないでいるのはおかしいという意見は小学生より,中・高生にいくにしたがってふえている。特に高校女子の28.4%が,いちばん多いようである。

 手をつなぐのをやめたほうがよいという意見も,小・中校生では,ほとんど差のない状態であるし,よくわからないという意見も低年令ほどでている。

 このようにみてくると男女交際のしかたで手をつなぎ楽しく歩く姿に好感をもったり,仲よくしている姿に明るさを求めたりするのは,互いに理解しあいたいという気持ちが根底にあるからなのだろうか。

−男女の腕ぐみ−

 男女が人前で手をつなぐのはやめたほうがよいし,またおかしいという意見も一部にある。日本の古いしきたりが,子どもに反映しているともいえまい。お互いの人格を尊重しあい,自分の感情だけでなく人の立場を考えれば,まだ限度ある交際を望むのは当り前のことではなかろうか。

 家庭,学校,社会ともどもに学年段階に即して適切な指導が行なわれるよう再検討の要がありはしないだろうか。

 5 むすび

 性教育ということばも,正しい意味で通用するようになってきたが,性解放とか商品化もますますエスカレートしている傾向もみられる。

 児童生徒の成長の加速現象も加わって,性への興味,関心を示すようになってきている。

 このたび性意識に関する調査の一端をのせてみたが,現場の性教育資料としてお役にたてば幸いと思っている。はじめにこの調査は,「眠っている子を起こすようだ。」とおしかりをうけたこともあったが,その考えは調査からは読みとれなかった。

 子どもたちは,幼ないころから性に目ざめ,いろいろの質問をとおして性についての疑問をなげかけている。

 無知による従順さを期待するといった古い観念は,性についての過度の無関心を表わすにすぎない不思議なことのように思われた。

 性教育についての再認識,再検討を要する時期にきているといえるのではなかろうか。

 こんなことを考えながら性教育の現状を再度反省せざるをえなかった。

 最後にセ,セ,セ,(必要性)性,愛,交際(反省)マスコミ,親子(期待)の8か条をあげて,若き世代に対する性教育を行なううえでのみずからのいましめとしたい。

1.(セ) 性とは,はずかしい,けがらわしいとする 親の考えが,子に反映していないか。
2.(セ) 性の問題を秘められたもの,かくされたも のとしての考えでなく,日常的なものとする必 要はなかろうか。
3.(セ) 性教育を担当する者の態度や指導体制がだ いじであり,新しい意味での人間教育ができる ものではなかろうか,
4.(性) 性教育は,生涯教育であり,発達段階に応 じた指導を考慮すべきではなかろうか。
5.(愛) 愛情豊かな環境を与えられなかった子が, 身体的場面のみの性を追求する子に育つのでは なかろうか。
6.(交際) 交際には,各自の良識と限度があり,主 体的判断が効をそうするのではなかろうか。
7.(マスコミ) マスコミによる情報を知らせる反 面,正しく読みとる態度,習慣を強調すべきで はなかろうか。
8.(親子) 親と子とつねに話し合いの機会と接触感 をもつくふうが大事ではなかろうか。
 人間の行動は,「欲求−理性」による「調節−行動」の型で,性への欲求は正しい豊かな愛情と理性的行動によって導かれるもので,つねに人間尊重の精神が根本にあることを痛感している。

イラスト


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