福島県教育センター所報ふくしま No.7(S47/1972.8) -009/025page
て,何学年の平均値として比較してすぐ個人の能力を判定しがちである。しかし今日ではこれらの運動能力は身長・体重などの体格と相関の高いことが明らかにされている。
身長と体重の組み合わせでみた体力,運動能力のちがい。 マックロイ
(1) 16歳男子の運動能カテストの合計点 体重 大 中 小 身長 大 51.1 45.8 37.1 中 46.2 43.5 37.4 小 31.0 42.1 35.3
(2) 16歳男子の体力診断テストの合計点 体重 大 中 小 身長 大 25.3 23.8 22.7 中 24.7 23.5 22.0 小 20.0 23.0 21.3
(3) 16歳女子の運動能カテストの合計点 体重 大 中 小 身長 大 43.5 44.0 41.6 中 39.3 41.9 40.7 小 39.3 39.7 40.8
(4) 16歳女子の体力診断テストの合計点 体重 大 中 小 身長 大 25.2 25.0 23.3 中 23.9 23.7 22.8 小 23.3 22.5 21.9 この表にも見られるように,男子では身長が大きく体重も重いものは,スポーツテストの体カ診断テスト・運動能カテストの合計点は高く,身長,体重ともに小さいものは,大きいものに比べてその得点は低い。しかし女子では男子のような傾向はみられない。すなわち概して身長の高いものは,バスケットボールや走り高とびたどで有利であることが明らかにされている。したがって大切なことはただ測定した記録を平均と比較したのみで判定することは,体格の小さい者にとっては,はじめから不利なのであって,これでは学習意欲を増すことにならないのである。重要なことは,平均値と比較して個人の記録を云々するのでなくて,個人の努力の結果,あるいは進歩の度合をこそ評価すべきなのである。また体格別(たとえば3段階位)の判定基準を作成し評価を試みるのもよいと思う。
2 教科の特性を考え具体的な学習目標を設定し,それにもとづいて評価する。
評価をするためには具体的な教育目標の設定が必要である。すなわちその設定された目標こそが,また評価の観点ともなるのである。従って具体的な目標設定なくして評価はあり得ないといえる。したがって,評価をするに当たっては,各種の困難性をもっているが各運動種目についての特性を検討し,知的理解,運動技能,態度などの内容面から,具体的でわかりやすい評価の観点を設定し,実施可能な計画を立案して評価するようにする。
3 児童・生徒とともに科学的方法で評価をする。
教師の行なう評価は重要である。しかし評価を実施するのは教師に限られるものではない。指導要項においても「児童自身の評価はそれに劣らず重要な意味をもつことになり,その他の第三者にも評価を期待するのはたいせつなことであろう。」とのべられている。生徒自らが自らの学習の進歩の度合を確かめたり,また生徒相互がどこまで進歩したか,技術はどうかなど評価しあい教師は,その生徒の相互評価をも考慮に入れることが必要であろう。教師だけの評価の場合は主観が入り,かたよった評価も出しかねない危険性がある。また各運動種目についての評価した資料を累積し,その結果を信頼度や妥当性をもたせるために,できるだけ科学的方法で処理をする。
4 指導計画や指導法の反省資料にする。
評価した結果にもとずき,指導計画や教師自身の指導法の反省資料とする。などが評価に対する保健体育の立場からの基本的な考え方である。
運動技能の評価の観点
運動技能の評価にさいしては,各運動に必要な技能の内容を,学習者の技能の習熟の程度に応じて明らかにするとともに,その練習法についても明確にしておき,それに基づいて評価することは前述の通り大切である。
(1) 運動技能の構造と評価
1 運動の各種技能は,基礎的運動能カ(走る,とぶ,投げるなど)や,基礎的運動要素(敏しょう・