福島県教育センター所報ふくしま No.7(S47/1972.8) -013/025page
(8) 強勢のおかれる語が連続した場合,前者は第2強勢, 後者は第1強勢となり, (`+´) の stress pattern をとる。(ただし複合語の場合は除く)
具体的には, 形容詞+名詞 (whìte hóuse), 副詞+形容詞 (tòo hót), 動詞+副詞 (前置詞) (g"32t úp) などであるが, whíte hòuse, tóo hòt, g"33t ùp とならないように注意したい。これは目本語で「白い家」,「ほんとに暑い」といった場合,「白い」,「ほんとに」の方がPitch が高く「家」,「暑い」の方が低いので,そのバタンを無意識に英語の stress pattern の中に入れてしまうために起こる誤りとも考えられる。また疑問形容詞などについても, Whàt tíme is it? が Whát tìme is it? に, Whàt kínd? (どんな種類ですか) が Whát k"36nd? にならないように注意したい。
もっとも D. Jones などは double stress と考え, úisefu1 bóok, só sórry などとして, (´+´) の stress pattern としてとらえているが,実際の指導にあたっては, (`+´) のバタンとして取りあつかった方か適切であると思う。
(9) 複合語の場合は, (`+´) の stress patternに注意する。
複合語のばあい誤り易いのは, nótebòok, básebàll, mृk bòttle, 1íving ròom などの(´+`)のパタンよりは, gòld wátch wòman wríter, tomàto sándwich, M`r.Smíth などの (`+´) のパタンである。実際には (´+`) のパタンが多いが,どういう時に (`+´) のパタンになるのかを簡単に説明してやるのも必要なことと思う。
(lO) 第1強勢をうける音節の音度 (pitch) について注意する。
第1強勢をうける音節は,下降調(termina1 fa11下向→)および文の途中での切れめたどに起る継続維持調 (termina1 sustain→) で終る Phonologica1 phrase の中では,一般に high pitch となり, 上昇調 (termina1 rise上向→)で終るものの中では, normal pitch となる。ただし,第1強勢をうける音節が phono1ogica1 phrase の最末尾にある場合には, 下降調ではその音節の後半がlow pitch に, 上昇調では high pitch に,継続維持調では normal pitch になる。なお intonation curve を引く場合, phono1ogical phrase の末尾に第一強勢をうけていない音節がいくつかある時には,下降調ではその音節はすべて 1ow pitch に,上昇調で high pitch に,継続維持調では norma1 pitch になり,その他の第2強勢をうけている部分および unstressedの部分はすべて normal pitch とする。
一般に pitch には, very high, high, nomal, 1ow の4種類がある。しかし実際の指導にあつては, high, norma1, 1ow の3種類で足りる。例をあげる。
(l1) 音声上の結びつき (linking) に注意する。 Linking がリズムの上で重要なことはいうまでもないが,次の3点には注意する。
1 子音十母音
たとえば, not at all は と切って発音せず と続け, I got an o1d typewriter from an aunt of mine は となるように練習をすることが必要である。一応理論的には分かっていても実行することはなかなか難しいことである。
2 子音+子音
[p], [b], [t], [d], [k], [g] たどの破裂子音(stop or p1osive consonants) のうち,同じものが二つ重なると,最初の子音を発音するときは,息を出さずにおさえておき,2番目の子音だけを発音するようにする。たとえば
また異なった stop consonant が重なった場合,たとえばfootba1l のような場合では, [t] と [b] のあいだに が入らないように, 唇が [b] の位置になるまでは,舌を口蓋にふれたままにして [t] の音を続けておくことが必要である。3 1つの phono1ogica1 phrase の中にある。破裂子音は aspirate (息を強く出して発音)しない。
日本語では普通,子音+母音の形をとるが,そのパタンを英語の中に持ち込み,不必要な母音を加えたいようにする。特に一息で発音する phono1ogica1 phrase の中にある stop consonants を aspirate させ,誤った母音を入れないように注意する。例えば,They 1aughed tosee me. He returned from his wa1k. She stayedti11 five o'clock. I don't care. She finished the work.などの下線部は aspirate しないように注意する。
以上気のついた事だけをあげてみたが,明日からの英語指導の実践に少しでも参考になれぱ幸いに思います.