福島県教育センター所報ふくしま No.8(S47/1972.10) -003/030page

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指導においても,旧宇体の文字を奮いたり,送りがなをいいかげんにしたりすることのないようにする。」と解説しておられ弘また,熱海則夫氏は「中学校学習指導要領の展開総則編」の中で,「たとえば,各教科等の指導の際の教師の話しことば,また黒板に板書する文字のありかた,さらには,校内における掲示板のポスター文字や校内放送における話しことばなどを整えることである。」と述べておられる。これら両氏の説明で,「言語環境を整える」にあたっての目標・態度・方法は,容易に理解することができる。

 それでは,こういったことを,言語の4つの機能にあてはめて整理していくとどんなふうになるであろうか。まず「聞くこと」と「話すこと」については,次のようにまとめることができそうである。

 (1) 各教科等で指導をする際には話しことばを正しくする。
 (2) 校内放送等で伝達をする際には話しことばを正しくする。
 (3) ラジオ,テレビ,テープレコーダー, L・L等の視聴覚教具は整備をして,使い方を正しくする。
 (4) 各教科等で指導をする際には,教師の発問にたいする生徒の応答を正しくする。
 (5) 生活のそれぞれの場面で,教師と生徒,生従と生従との会話を正しくする。
 (6) 学習活動のいろいろな場面で,自分の考えをはっきりさせ,適切な時機に発表できるように,思考や態度を正しくする。

 この場合,(1)・(2)・(4)・(5)のことばを「正しくする」というのは,発声・発音・高低・抑揚・用語・文法等すべてを含めて考えていく必要があろう。

「読むこと」と「書くこと」では,次のようにまとめてみた。

 (1) 各教科等の指導で,板書・ブリントなどをする際には,書きことばを正しくする。
 (2) 特別活動等で伝達掲示などをする際には,表記・用語・文章を正しくする。
 (3) ノート,レポートをはじめ,各種の製作品・提出物等で文字を使う場合には,書き方を正しくする。
 (4) 学級日誌・クラブ日誌等の記入や,学級会・生徒会の伝達掲示などは,表記・用語・文章を正しくする。

 送りがな・漢字の字体・用語・文体・文法等,文章表現に関するすべてのものをおさえて考えていかなければならないであろう。

 3. おわりにー学校経営への位置づけをー

 ところで,「言語環境を整える」という問題が,中学校では指導要領の「総則」の中に出てくることについて,前記の熱海氏は「中学校においては,教科担任制というたてまえから,このことについての全教師の協カ体制,共通理解が重要なことと考えられるので,教育課程編成の配慮事項の一つとして総則において述べることとした」と言っておられる。これは,大矢武師氏が「学習指導要領用語辞典」の中で,「生徒の言語活動を適正にするためには,学校全体,全教師の協力が必要である」と言っておられるのと一致した考え方である。つまり「言語環境を整える」ためには,国語科だけの問題ではなく,学校経営の中の問題として計画していかなければならないということになるのである。

そしてこのことは,小学校や高等学校にもあてはまる問題ではなかろうか。「言語環境を整える」ということについて,高等学校の学習指導要領にはとくに明示されていないけれども,その中の「国語」の目標や「現代国語」の目標・内容・内容の取り扱いから考えて,「言語環境」には十分留意をし配慮をしていかなけれはならないことはいうまでもない。


 小学校教材

      作文能力の診断

       〜能力差に応じた作文の指導のために〜

                         第1研修部 石井喜美雄

 国語科は,他の教科に比して,こどもの能カ差が割合に小さいといわれるが,国語科自身に限定してみると,読解領域に対して表現領域の分野に大きく差があらわれ易い。表現活動には創作的色彩が濃厚なだけに,個人の生活経験のちがいとか,言語経験とかが強く左右するからであろう。

 科学の進歩にともなって情報機器が急速に発達し,社会生活の中での書くという活動が極端にせばめられてきていることは事実である。がしかし,正しいコミュニケーションをはかり,豊かな人間性,民主的人間の育成をめざすために,書く活動の重要さを再認識しなければならないのではないだろうか。最近作文教育が重視されてきている理由もこのへんにあると思う。

作文指導において,こどもの能力を科学的に診断


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