福島県教育センター所報ふくしま No.8(S47/1972.10) -005/030page
以上のような診断方法により,全学年を実施し,その結果を分析検討していけば,児童の発達段階をふまえての,能力実態をは握することが可能であろう。ただ項目を作成する段階で特に留意しなければならないことは,内容によっては,他の学年にまたがるものがあるということである。一例をあげれば,「文のおわりに○をつける」ということは,1年生ではその導入的取扱いであり,4年生で確実に身につけることになっている。これに類するものは,評価するときに,学年に応じた段階的な観点をはっきりさせておく必要がある。
診断の結果は,単に帳簿等に記録するだけにとどめる資料となってしまってはならない。結果の考察から生まれた内容を基本として,学級を各層(3〜4層)にわけて指導ができるような指導計画をたて,個別指導を強化してよりよく変容させるぺきである。その点からすれば診断表の評価らんは,こどもの状態によって,常時書きあらためられるものでなければならない。また,診断表の性質からして,個々の学級内にとどめておくことなく,全学年の関連性を考慮し,担任間の連けいプレーによってこそはじめて価値あるものとなる。
紙面の関係から,全学年にわたっての表をのせることができないが,資料として4年生の項目のみあげておきたい。
第四学年 到 達 目 標 (診断項目) 興味態度 1みじかいお話を作ることに興味を増すようにする 2自分の書いたことをもとにして生活を反省するような習慣を身につける 内容 3体験をしたことをまとめて考え文章にまとめることができるようにする 4用件を中心にした手紙を書けるようにする 構成 5段落を考えて書けるようにする 6原稿用紙、図表など適切につかうことができるようにする 7要点をおさえて観察し、記録できるようにする 表記 8相手によって適切なことばづかいをする 9語句の使い方を効果的に使えるようにする 形式 10箇条書きの形式になれる 11文字の大きさや配列に気をつけて書けるようにする 12横書きに慣れるようにする 推考 13書いたことを清書するようにする
〈社会〉
小学校教材
人物学習における「人物の教材化」と「資料をいかす学習の展開」
第1研修部 井関鉄雄
1. はじめに
いろんな会合の席上で話題になるひとつに「歴史上の人物学習」をめぐる問題がある。なるほど小学校における歴史学習は,わが国の歴史,伝統に対する理解と国民的心情の育成をめざし,基本的には時代史的通史の学習という型をとり,歴史へのアプローチの一方法として人物を重視し,具体的な人物のは握を通して歴史の理解にせまるとともに,人物の生き方に共感を得させる学習を進めることになっているので当を得た問題である。これを解決し学習を展開しない限り,鋭い歴史眼を身につけた児童を育てることはできない。そこで数多い問題の中から特に重要と考えられる二つの問題,「人物の教材化」と「資料をいかす学習の展開」についてのべてみる。
2. 人物の教材化
人物を教材化するには,どんな人物をということが問われるので,人物の選択から考えてみたい。人物を選択するには,まず歴史学習の基礎となる「歴史学習の重点事項と基本的内容」をじゅうぶんに検討することが前提必要条件となる。即ち,児童に日本史のどこに重点をおき,どんなねらいで,どんなことを学習させるかを追求しま握することである。その追求の観点をあげれば
・各時代についての学習のねらいは何か。また,取り扱い上の留意事項は何か。
・歴史上中核的な重要な位置をしめ,時代を代表し,それを通して時代の背景や雰囲気を追体験できるものは何か。
・日本人として,必ず知っておかなければならない歴