福島県教育センター所報ふくしま No.8(S47/1972.10) -007/030page
● 安藤広重
○● 松尾芭蕉
● 塙保己一(3)国民生活の向上
1民主的、文化的な生活をめざしての努力
2国民文化の進展・現在の日本がもつ重要な課題に注目させる。 (4)わたしたちのつとめ 1国家社会に果たす役割
2国家の安全と繁栄への努力キ ・理解する ・日本歴史の文化的特性を理解させる 1.日本歴史の文化的特性 ・考えを深める ・将来を展望しての各自の責任や自覚をうながす 2.次の時代の歴史をになう立場や責任 さきの事項をふまえ,その時代を代表し,時代の雰囲気を体現しているような人物,しかもめざましい歴史的役割を果たした重要な歴史的意義を背負っている人物を表出して,その人物を通してその窓口から背景にある歴史的世界を理解させるとともに,人物の生き方に共感を得させることになる。問題はこうした人物をどうして選ぶかということである。次の2つの立場から考えてみろ。
その1は,「小学校学習指導要領,社会」の趣旨にそう立場からで,歴史上の人物といえば殆ど無数といってよいその中から,どれを選びどれを捨てるかという取捨選択の基準を学習指導要領にもとめる立場である。したがって「内容2」の各項目に沿う人物を選ぶこととなり,人物選択の中心の観点は国家・社会の発展に尽くした人物,その時代を代表する人物ということになろう。選ぶに当たっては,次のような人物を選択する条件をつくり,これに沿って人物を選択することも考えられる。
・その人物を掘り下げていくことにより,その時代のようすがよくわかる人物
・当時,または後世の人々の誰れもが,多少にかかわらず口にする人物
・時代を変えるようなエポックメーキングな事件の中心人物やそれを代表する人物
・後世に残るような歴史的事実・事象に関係したり,それを創り上げた人物
・その人物の行為(行動)が,当時またはそれ以後の社会に大きな影響を与えた人物
・ある時代を精一杯に生き抜き,その一生の努カ,精進,業績,人格,思想にふれることにより,心に感動を受ける人物
・著名校人物に対して,国家・社会の発展に努力した名もない人々(集団)もおとしてはならたい。その2は,児童の歴史意識の育成の立場からである。児童の歴史像の実態をふまえ,児童の歴史意識の育成という立場からの人物の選択を考えてよいのではあるまいか。児童は,マス・コミや大人たちの話などによって人物を知る機会も極めて多く,かなり多くの人物を知ってはいるが,誤った人物観をもち人物に対する正しい評価に欠けている場合が少なくない。人物に対する理解の傾向をみると,理解の程度は概して低く興味本位の一面的断片的である。人物ー業績ー時代との関連がじゅうぶんは握されていない。人物観は主観的・独断的・感情的なのが多いなどがあげられ,また児童の歴史像は,地域差ないし学校差がかなりみられることが実態調査で指摘されている。このような実態をふまえ,正しい歴史像や人物像を育成するには,どんな観点から人物を選択したらよいだろうか。その観点は,
・児童が興味・関心を高め,親近感をもって歴史学習に取り組める人物
・正しい人物像(観)を養うのに好個な人物ということになる。以上の2つの立場から,人物選択の観点を中心に考えてきたのであるが,これら2つの面を照応相補させながら精査考究し,時間的な制約や人物資料の蒐集などの点を考慮して,学習に最適最少限の人物を選択することである。なお,どのような人物が取り上げられているかについて調べたものを表(1)に示しておいたが,これらの人物もじゅうぶん吟味検討することが必要であろう。
先によって選ばれた人物は素材であって,すぐさまそれを教材とすることはできない。教材とするには,まずその人物のどの部面を取り上げたらよいか,人物の何について学ばせるのかについて明らかにしなければならな