福島県教育センター所報ふくしま No.8(S47/1972.10) -011/030page

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になり,各種の教材メーカーから種々の透明半球が販売されている。これらをその直径により3種に大別できる

 a型,大型透明半球(径60p, \7,OOO), 大型透明半球(1 径40p, 2 45p, \2,000〜\2,200)
 b型,中型透明半球(1 径19p, \350), (2 径20p,\400),(3 径21p, \160……塩化ビニール製)
 c型,小型透明半球(径12pの地平座標目盛付半球と径12.5pの赤道座標目盛付が組みになっている。\200)

 このように種々市販されているので,その目的によって使いわけるのがよい。たとえばa型は,一斉に校舎の屋上などで観測方法を指導したり,太陽の動きなどを実際に観測しプロットしたりするのに都合よい。また教師の演示によって観則結果から推論を進めていくのにわかり易い。ただ,単価が高いこととアクリルであるために割れ易いので留意すべきである。

 b型の場合は,ごく一般的ないわゆる普及型である。直径には各メーカーによりばらつきがみられるが,あまり問題でない。径20pの半球には赤経,赤緯の目盛りがつけられていないが径19,および21pには切り込みの目盛りがある。

 目盛のあるなしは,どちらが良いというのではなく,生徒の実態,および学習のねらいによってむしろ使い分けるべきである。

 次に径21pの半球は価額が安いので個人持ちで使用させる場合に都合よい。材質は塩化ビニール製であるので落としても割れない(家庭学習,すなわち夜間における月の動きをプロットしたり,学校にあっては各自の机上で天体の種々の動きを考察するに都合がよい),ただし,熱によわく,うすいので多少変形して記録しにくい場合もある。

 c型の場合は内側半球とそれに外接する半球(外接半球)とが組みあって市販されており,細かな赤経,赤緯線,方位・高度日盛が付されている。個人持ちにし,データを解析したり,恒星と太陽との運動関係を考えるのには極めてよい。

 3. 透明半球の利用法

 透明半球は(1)観測・観察のための器具として,(2)モデルとしての利用と,その利用目的により二大別される。

 ここでは,この順にしたがい,利用法の概要,および問題とたる事柄に触れてみたい。

 (1) 観測・観察器具としての利用

 天体を動的には握させようとする授業の中で,ややもすると データを収集 し,これをもとに 考えをおしすすめていく ことに欠ける面がある。しかし透明半球が利用されるようにたって種々の観測方法が検討され,その効果が非常に期待できる。太陽や月の日周運動(地球の自転との関連),季節の変化に伴う太陽や月の高度の変化などの現象を観測するのには極めて効果的である。従来の日影曲線(小学校6年教材)に比較し,観測結果(データ)を解析していくためには,それ自体が立体的・空間的であるために系統的に論理を進めていくのに適切な器具である。また操作する場合も特別な技術を要しない点でも意義がある。

第1図 透明半球による観測
第1図 透明半球による観測

 透明半球による観測データとしてみのがしてならない点は, 1太陽・月の日周運動の軌道, 2季節を変えた場合の日周運動の軌道 (地軸の傾き,季節の変化,地球の公転を考察させる重要なデータとなる)で,年間の適当な二つの時期(夏と冬)の観測が最低必要である(第1図参照)。生徒達が自ら得たデータをもとに論理を組みたてなければ,探究の正しい方法が身につかないことは今更のべるまでもないことである。

 なお,前項(透明半球の種類)で述べた各透明半球は1, 2の観察でその特徴を生かしてとり入れられたい。

 (2) モデルとしての利用

 透明半球は観測データ収集のための重要な器具であると同時に探究していく中でのモデルとしても重要な価値がある。ここでは筆者が開発した利用の方法,およびすでに試みられている方法の2〜3を紹介し,あわせて,その留意すべき事項の要点をあげてみたい。

 1 地球の大きさを求める。

 これはエラトステネスの方法によるものであるカミ(第2図参照)a1=a2であること(太陽光は

第2図 地球の大きさを考えるモデル
第2図 地球の大きさを考えるモデル


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