福島県教育センター所報ふくしま No.8(S47/1972.10) -017/030page
一般に弾性限度以後の変形を塑性変形というが,B以後は塑性変形の著しい範囲である。
最大荷重Mに達して試験片の1部に断面減少,すなわち,局部収縮が現われ,荷重は,Zまで下りついに破断する。
一般に降伏点以後,最大荷重に達するまでは,試験片各部は一様に伸び,従って断面の減少は各部大体等しい。最大荷重Mに相当する応力を引張りの強さといい,Zに相当するものを破断の強さという。
また,BM間では,試験片の平行部は一様に細くなるにもかかわらず,荷重が次第に増加しているのは,伸びと共に変形に対する抵抗が次第に増加することを示すもので,この現象を加工硬化という。
また,MZ間で荷重が次第に低下しているのは,加工硬化が漸減するのではたく,試験片の局部の断面収縮が急速なため荷重が雌に総量的に減少するからで,そのときの最少断面積に関連した応力で比較すれば,硬化はM点以後も引続き増加していることがわかる。なお,MZ間の経路は厳密には平衡状態を保っているものではなく,試験片の寸法や試験速度などかなり著しく依存するのでZ点で示される破断の強さは実用上あまり重要視されていない。工業上では,M点で示される引張強さを採用している。
(4) 試験片の測定
1 試験片の切断部の切り口を合わせ,切断後の標点距離を1ギスで1/20oまで測定する。定盤,Vブロックを使用する。
2 試験片切断部の直径を1ギス1/20oまで測定し,数方向の測定値の平均値をとって,切断部の測定とする。
4. 結果
測定値から,機械的性質の数値を計算すると表3の通りである。
この試験結果は,材料の最も基本的な機械的性質を示すもので他の試験による材料の性能は定性的には,引張試験の結果より大体推定できる。
5. まとめ
実験値よりS45CとS15Cを比較するとS45Cは,引張強さ,降伏点は大きいが伸ぴや絞りが小さい。S15Cは,その逆である。