福島県教育センター所報ふくしま No.8(S47/1972.10) -028/030page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

      ・今日の合奏は、どんなところが楽しかったですか。  ・楽しく合奏ができたかをメモする。   ・人数が多い
・楽器がいろいろある
 
      ・じょうずにできなかったところは、どこですか。  ・よくできなかったところはどこかメモする。   ・楽器がひける  
  7楽器のあとしまつをする。 2
7楽器の整理を指示する。
7楽器の整理を援助する。   ・笛ができない  
       ・楽器をていねいに定位置に片付けさせる。     ・思うようにできない  

 7. 検証

(1) 題材の取り扱い

 1 2学年合併集団による授業の第1年次として,器楽領域をとりあげたことは,楽器の導入,場面の構成で従来にない満足感がもたれた。

 2 複数の教師で検討し,題材構成の協同作成により,内容・方法が具体的になり,教育機器の活用も効率的に位置づけられた。

 3 本題材を4時限取り扱いとしたが,児童の実態から段階的に展開もでき適切であった。

(2) 基調案

 1 基調案の形式については再検討をした。

 2 基調案の作成により,教材研究が充実し,内容も深まり,効率的であった。

 3 教師の特性が生かされ,役割分担に主体性がもたれた。

(3) 教授過程

 1 合併授業により(学年団のわくをはずし集団の再編成を行ない)器楽合奏を実施した結果は,器楽合奏の楽しさ,音の美くしさをじゅうぶん味わわせることができた。

 2 協力分担による授業の結果は,各バートの指導が効率的で,ねらいが的確には握された。

 3 教師相互の話し合いが具体的でないためか,相互に消極さがみられた。

 4 役割分担に主体性が足りなかった。

(4) 教師の役割分担

 1 「教授と分担」らんの内容をもう少し具体的にする必要があった。

 2 教育機器の活用はじゅうぶんであり,観察面も援助と平行して行なわれ個別化は徹底された。

 3 教材研究か高まり,内容の深化がみられた。

(5) 児童の変容

 1 学習に興味をもち,積極性がみられた。……21/32人

 2 自分のバートに責任と協カする態度がみられた。……25/32人

 3 音楽の家庭学習も見られるようになった。……18/32人

(6) 教師の自已調整

 1 学習カードを利用した結果は,各バートごとの演奏技能の高まりをみることができ,教授過程を吟味することができた。

 2 児童は学習カードの使用により,いろいろな楽器の組み合わせがわかり,個人ごとに練習する態度がみられるようになった。

 3 教授の過程に充足感をもつことができ,全過程をとおして満足感をもつことができた。

(7) 児童の反応

  合併授業について,児童に次のような反応がみられた。

 ・ 人数が多いので,音がきれいでゆかいだ。
 ・ 3・4年が力を合わせてするといい音がでる。
 ・ いろいろな楽器がたくさん入っておもしろい。
 ・ 人数が多いとにぎやかで楽しい。
 ・ 4年生に教えてもらえたので早く覚えられた。
 ・ へたにできると3年生に笑われるからいやだ。

(8) 父兄の意識

 合併授業について,感想をよせてくれた13人の意見をまとめると次のようである。

 ・ はじめてなのでよくわからない。
 ・ 学習にもり上がりがみられる。
 ・ 体育,音楽,図工の教科位で,他の教科は考えものでないか。
 ・ 学年差がないか,どうかが少し心配である。
 ・ 2教師で教えると変化もありたいへんよい。
 ・ 全教科を学級担任でやるよりも新鮮味があり,たいへんよい。個性も伸びると思われる。
 ・ 教科によっては合併もよいと思う。

 以上のことは,小規模小人数学級校における教育活動の一改善の考え方と,その実践のあり方を示したものであるが,今後に多くの問題を残している、ご検討,ご助言をいただければ幸いである。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。