福島県教育センター所報ふくしま No.10(S48/1973.3) -003/021page
磁石の先端から距離 cm 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 検出用μAの読み 29 18 10 6 5 4 このままで十分教材用に使えるようであるが,磁石からもっと違い距離での磁界や,もっと少ない電流での実験には不十分なので,増幅器をつけて製作してみた。
2. 差動増幅器をつけた磁束計
(1) 回路の説明
1 T1の回路ペアになっている一方のマグネットゲイオードをMD1,他方をMD2とし,<図5> のように接ぞくする。磁界をかけるとMD1の抵抗が増加し、MD2の低抗が減少する。また磁界を反対にかけれぱその反対となる。したがって,Bの電圧が変化しE→B→D→MD2のべ一ス電流が変化する。そのためT1のコレクタ電流(R1→E→C→(一))が変化し,R1の両端の電圧が変化する。
2 T2の回路 この回路では,T1回路のダイオードMD1,MD2のかわりにそれぞれ7.2KΩの抵抗を用いた。
この抵抗仇はダイオードの磁界をかけない場合の順方向抵抗値に近い値を用いた。E→B→R4→(一)のべ一ス電流が流れているので,R3→R2→E→C→(一)のコレクタ電流が生じており,R2十R3の両端には一定の電圧が得られている。
3 ブリッジ回路 両方のトランジスターのエミッターEを電流計(0.5〜10mA)で結び,R3を調節すると,TlT2のエミッター電圧が等しくなり,電流は流れなくなる。
この状態のもとでマグネットダイオードに磁界をかけると,Tlのエミッター電圧が変化して電流計回路に電流を生ずるわけであり,これによって磁界の強さを検出する。
感度調整の抵抗は無くとも良く,弱い磁場測定には感度の高い電流計,強い磁場では感度の低い電流計を用いれば良いわけである。
(2) 実験結果
1 ソレノイドコイル中心部の磁場と電流との関係ソレノイドは長さ14p巻数68511のもの,検山用電流計は10mA,感度調整抵抗は5KΩ,電池は6Vを用いた。
コイル電流A 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 検出用電流計指示値 mA 0.45 0.95 1.40 1.95 2.45 3.00 3.40 これをグラフにしたのが<図6> である。電流すなわちコイル内の磁界の強さと,検出電流値が直線的に変化しているので半定量的には十分使用できる。また同一電流計を用いて標準磁場で何mA流れるかを調べて更正すれば,磁界の絶対測定にも使用できる。
2 捧磁石からの距離による磁界の強さ
捧磁石(長さ15p角型)の極の位置が端から1pの位置にあるものと仮定して,極の位置から2,3,……8pはなれた位置の磁界を測定してみた。検出用電流計は1A感度調整抵抗は零の位置,電源6Vで測定した。
検出電流は磁界の強さに比例しているはずであるからグラフの上では磁界の強さと見なし,距離と検出電流の関係を示したものが<図7> の曲線である。それが距離の2乗に反比例しているかどうかを見るために横軸に距離の2乗の逆数をとって書きなおして見ると,見事に原点を通す直線となった。
極からの距離 cm 2 3 4 5 6 7 8 検出用電流 mA 0.70 0.31 0.17 0.11 0.08 0.05 0.03 距離2乗の逆数 0.25 0.11 0.06 0.04 0.03 0.02 0.015 3 板状磁石からの距離による磁界の強さ
フェライト磁石が身近に使用されるようになり,一見非常に強い磁石のように考えられている。磁石からの距離による磁界の強さはどうなっているかを調べてみた。
使用した磁石は直径9o,厚さ5.5mmで両平面が極になっている。極の位置は薄い磁石なので平面上にあるものと仮定して,平面からの距離と磁界の強さとの関係を調べてみた。検出用メーターは1mA,感度は最大の位置で実験した。
磁石から距離 cm 0.8 1 1.5 2 3 5 8 検出メーターの読み mA 7.5 0.48 0.16 0.06 0.03 0.01 0.01