福島県教育センター所報ふくしま No.10(S48/1973.3) -005/021page
り返し指導しなければならない。「これがエネルギーである」といって,酸素や食塩のよ引こそれだけを取り出して見せることができないところに,エネルギー概念の指導の難しさ,理解の難解さがある。
中学校で具体的に取り上げられる素材として,次のような項目が考えられる。
1. 結晶の溶解、溶液の混合,沈でん反応などの際に発生する熱エネルギー
2. アルコールやローソクなどの燃焼の熱エネルギー
3. 状態変化に伴う熱エネルギー
4. 中和反床の際に発生する熱エネルギー
5. 金属がイオンになるとき発生する熱エネルギー
6. 金属が析出するときに必要な電気エネルギーその他いろいろあると思うので先生方の研究を待ちたい。ここでは,紙面の都合上2と3について述べる。
1 物質が燃焼するときの熱量測定
目的 1.メチルアノレコール,エチルアルコール,ローソクたどが燃焼するときの熱量を,自分で装置を考案して測定できること
2. 変化した質量と発熱量の関係を指摘できること
装置 普通のアルコールランプでは、質量が大きすぎて上皿てんびん(秤量100g)で測定不可能なので,右図のような手製簡易アルコールランプをつ くる。内径18mmの試験管を長さ9p位に切り,既製のアルコールランプのしんおさえを取り付け,下に12号ゴム栓を半分に切り穴をあけて試験管を立てる。しんはわずかに出る程度にする。長すぎると大きな炎となり,誤差が大きくなる原因になる。熱量計と全体の装置は下図のように組み立てる。
A:あきかん小(水300t位入るもの)B:あきかん大(上下を切り取り,ランプのホヤとする。スタンドのリング上に置く。側面に直径1.5p位の穴をあけ,点火する時や,燃焼状態を見る。あきかん小より直径約2cm大きいこと。小さいと熱気がこもりランプの一異状燃焼が起こる) C:温度計D:簡易アルコールランプ E:鉄製スタンド F:上皿てんびん
方法 1.あきかん小に水30Occ取り,水温をはかる。
2. 簡易アルコールランプにアルコールを9割ほど入れ、全体の質量をはかる。
3. 点火して、一定の質量減少(例えばO.3g)ごとに水温を測定する。炎の最高温度の部分がかんの底にあたるように高さを調節する。かんの底が黒くなるのは不完全燃焼で発熱量が低くでる。
4. 結果をグラフに表わし,質量変化と発熱量の関係を考える。測定結果の例水量300cc室温22℃水銀温度計(1/1℃)
表1 質量の
減 少メタ
ノールエタ
ノールg
0
0.3
0.6
0.9
1.2
1.5℃
18.5
22.0
26.5
30.5
33.0
36.0℃
18.5
24.0
28.0
34.0
38.5
42.5
表2 質量の
減 少ローソク g
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0℃
18.7
23.5
28.5
33.0
37.2
41.0グラフ化し,1gあたりの発熱量を図3に示す。理論値と比較すると165〜70%を程度の測定値なので、定量的実験として問題が残るようだが,目的は熱化学的にいわれている正しい燃焼熱の測定でなく,前述の目標1,2を主眼としたものである
表3 メタ
ノールエタ
ノールローソク 質量変化 g 1.5 1.5 1.0 水温変化 度 18.8 24.5 23 発熱量 cal 5640 7350 6900 1gあたりの
発熱量 cal/g3760 4900 6900 理論値 cal/g 5340 7090 10340